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【特集】阿里巴巴(アリババ)集団、米国上場目前!?日本企業が学べること

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002中国eコマースでアリババ独走・日本企業が成功する道は?(2)ヤフーの失敗例を分析

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2014年9月上旬にアメリカ証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を目指している中国のEコマース(電子商)取引の最大手企業であるアリババ・グループ・ホールディング( Alibaba Group Holding/阿里巴巴集団)。現在、アリババはアリババ・ドットコム、天猫(Tmall)、淘宝網(タオバオ)の3本柱で中国のB2B(企業間取引)、B2C(企業対消費者間取引)、C2C(消費者間取引)の3分野を完全にリードしています。

そのような現況、昨今叫ばれている日中関係の不安、そしてヤフーがアリババと組みYahoo!ショッピングの商品を中国向けに販売した淘日本(タオジャパン)や楽天市場中国版(楽酷天)など日本のeコマース大手企業が過去に中国市場に挑戦しながらも敗れ去ったことから、日本発中国向けで販売するというのはとても難しいことと感じるかもしれません。しかし、今の中国市場の状況過去に挑戦した企業たちがなぜ失敗してしまったのかを考えれば、今後新たな成功のチャンスが事業の規模を問わずにあるかもしれません。

今回は前回に引き続き、(アリババの話題とは少しだけ離れて、)中国で日本の商品を売るために成功する道を探ってみましょう。前回は日本製品が中国市場においての信頼度についてお話しました。結論としては、いいモノであれば国籍を問わず積極的に受け入れるのが中国人の考え方と言えるでしょう。

今回は、かつて中国市場に挑戦しながらも跳ね返されてしまったアリババとヤフーが組んで日本・Yahoo!ショッピングの商品を中国で販売する仕組み「淘日本」(タオジャパン)と楽天市場の中国版「楽酷天」(ラークーティエン)の2つの中から淘日本を例にして、失敗した要因を探ってみましょう。

「淘日本」は2010年6月1日にアリババの淘宝網内の1コンテンツとして開設しました。コンセプトは、膨大に存在する淘宝網のユーザーが日本・Yahoo!ショッピングで販売されている商品を中国語で購入できるというものでした。

taojapan01.jpg

Yahoo!ショッピング内の商品をどのように中国へ発送していたかと言うと、梱包された荷物を一旦香港にまとめて送り、そこから再度中国大陸の顧客に発送していました。

なぜわざわざ一度香港へ送っていたのでしょう。理由は香港へ発送すると、通関のチェックなしで、関税やCIF(商品価格・運賃・保険料)と関税に対して課税する増値税(日本の消費税に近い、中国では17%の税率)を払わずに荷物を入れることができるからです。

香港ではその行為は合法でも、そこから中国大陸に転送するとなると関税や増値税が課せられるはずなのですが、かつて個人輸入や並行輸入業者はそこを逃れる「違法行為」をしていました。実際ヤフーがそういった行為をしていたかどうかは断定できませんが、前回のコラムでも触れた通り、正規ルートで輸入すればかなりのコストがかかるわけなので、わざわざ香港へ迂回させていたと言うことは関税等を逃れていた可能性もあります。

ところが、2010年に日本で口蹄疫が発見されたことで、同年4月に中国への日本製の粉ミルクが輸入禁止に。更に追い討ちをかけるように同年9月に中国においての個人輸入の課税を強化する通達が中国政府から出ました。これにより免税のラインが簡易税率計算による関税金額が500元から50元に大きく引き下げられました。更に「今後は輸入荷物を全部検査する」という情報を政府は流してきました。

(本当に全部検査すると中国の通関業務がパンクするため、数%程度の抜き打ち検査だったと推定されます)

こういう規制を逃れるためにはインボイスの金額や商品名を偽装するという方法を取るのでしょうが、検査をしたら嘘がすぐ分かるので結果、香港へ着いた荷物の大半が香港で止まったり、日本へ戻されるという状況に陥りました。

そういった規制の弊害なのか、商品価格より送料が大幅に高くなってしまっているアイテムが続出しました。

taojapan02.jpg画像引用元

その為か「高額な送料を払ってまで買いたくない」という顧客が続出。本来であれば荷物は一旦香港へ集約することで、送料を安くしたいと考えていたのでしょうが、規制でそれすらも叶わなくなり、商品すらまともに届かなくなったことは痛かったのだと思います。

これだけを見ると淘日本はいろいろな不運に見舞われたと考える方もいるでしょうが、本当の失敗原因は、実は別のところにありました。

いくつかの原因があるのですが、それを一文で言い表すと

自動化で全てを済ませようとして、大した準備もせずに見切り発車で運営し始めたから

です。

言い方が悪いのかもしれませんが、

中国人消費者の心理や慣習を全く理解せずに、日本のサイトをそのまま中国版に変えて運営してしまった

ということです。

確かにショッピングモールは膨大な商品数を扱うため、手作業でひとつひとつやっていれば終わりが見えないので、システムの自動化をする行為は当然かもしれません。

それにしても、商品説明を日本語→中国語の自動翻訳にしてしまったので、中国人消費者には意味不明な説明になってしまいました。原文と翻訳文の両方は併記されていますが、日本語の意味を正確に理解できる人でないと辛い状況にしてしまったのです。

例えば、

(日本語)

新品未開封商品です。値段のはがし後・パッケージが傷んでいる商品もございます。商品知識のあるお客様のみお買い求め下さい。古い商品の為店舗保障・メーカー保障などはございません。ご理解のうえご購入下さい。

(自動中国語翻訳)

taojapan03.png

(自動翻訳の直訳)

新品未開封商品です。値段を剥がしてきました。なおかつその後モジュールがちょうど痛い商品に感じます。商品知識のあるお客様のみお買い求め下さい。古い商品ではなく店舗保障とメーカー保障がございます。ご理解のうえご購入下さい。

というところどころ意味不明な文章になってしまっています。結局文章チェックに人が介在しないので、中国人消費者にとっては「??」のまま。

中国では淘宝網において、よく使われているコミュニケーションツール・阿里旺旺を通して、価格や配送等のいろいろな質問ができますが、Yahoo!ショッピング側に中国語で質問対応できるスタッフが皆無で、「海外の商品を買い物する」リスク・不安を増幅させてしまいました。

また、商品の支払いがYahoo!ショッピング同様先払いであり、商品が届いてその品物の品質を確認するまで最終決済をしない支付宝(アリペイ)に慣れているユーザーに更に大きな不安を与えることになりました。

その後、いつの間にか淘宝網ホーム画面からリンクを外されてしまい、実質開店休業状態に陥りました。そして、2012年4月4日にひっそりとサービスを終了することになりました。

taojapan04.png

中国において、アリババが淘宝網を始めた時、先行者として中国eBay(易趣網)がありました。中国eBayはもともと本家eBayを踏襲したシステムで、中国eBayがビジネスを始めた頃は特にライバルが居なかったためシェアを握ることができました。淘宝網は中国人消費者の心理や慣習をしっかりと理解して、それに合わせたサイト作り・システムを構築したことにより参入から2年足らずで中国eBayを逆転しました。一方の淘日本は全く中国人消費者の心理や慣習を理解しないままにサイト作りをしてしまいあえなく失敗しました。通関強化の不運を差し引いても失敗は必然だったのかもしれません。

成功する道へ導く為には、まず中国人消費者を知るということがとても大切であることがお分かり頂けたと思います。

次回は淘日本から4ヶ月遅れの2010年10月にスタートした楽酷天がなぜ失敗に終わったのかという点について探ります。


© MAKEPO

 
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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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増山智明

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