ノウハウをいつでも。ウェブマーケティングのポータルサイト

【特集】阿里巴巴(アリババ)集団、米国上場目前!?日本企業が学べること

マーケティング

003中国eコマースでアリババ独走・日本企業が成功する道は?(3)楽天の失敗例を分析、そして答えは?

このエントリーをはてなブックマークに追加
      
follow us in feedly
友だち追加数
2014年9月上旬にアメリカ証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を目指している中国のEコマース(電子商)取引の最大手企業であるアリババ・グループ・ホールディング( Alibaba Group Holding/阿里巴巴集団)。現在、アリババはアリババ・ドットコム、天猫(Tmall)、淘宝網(タオバオ)の3本柱で中国のB2B(企業間取引)、B2C(企業対消費者間取引)、C2C(消費者間取引)の3分野を完全にリードしています。

そのような現況、昨今叫ばれている日中関係の不安、そしてヤフーがアリババと組みYahoo!ショッピングの商品を中国向けに販売した淘日本(タオジャパン)や楽天市場中国版(楽酷天)など日本のeコマース大手企業が過去に中国市場に挑戦しながらも敗れ去ったことから、日本発中国向けで販売するというのはとても難しいことと感じるかもしれません。しかし、今の中国市場の状況と過去に挑戦した企業たちがなぜ失敗してしまったのかを考えれば、今後新たな成功のチャンスが事業の規模を問わずにあるかもしれません。

今回は前回に引き続き、アリババの話題とは少しだけ離れて、中国で日本の商品を売るために成功する道を探ってみましょう。前回はヤフーが中国で展開した「淘日本」が全く中国人消費者の心理や慣習を理解しないままにサイト作りをしてしまった為に失敗してしまったという例を紹介しました。

今回は、かつて中国市場に挑戦しながらも跳ね返されてしまったアリババとヤフーが組んで日本・Yahoo!ショッピングの商品を中国で販売する仕組み「淘日本」(タオジャパン)と楽天市場の中国版「楽酷天」(ラークーティエン)の2つの中から楽酷天を例にして、失敗した要因を探ってみましょう。

「楽酷天」は「淘日本」のサービス開始から遅れること4ヶ月後の2010年10月19日にサービス開始します。パートナーは中国最大の検索エンジンである百度(バイドゥ)で出資比率49%、残る51%が楽天。日本最大のショッピングモールと中国最大の検索エンジンのタッグで当初は大きな注目を浴びました。

lekutianchina.jpg

まず、なぜ楽酷天という名前になったのでしょう?「楽天」だと中国語読みでラーティエンになってしまいます。

更に中国には「楽天」というブランドが既にあり、商標登録もされていました。登録者は韓国のロッテ、つまりロッテを中国語で書くと「楽天」です。

さすがにそれでは中国でブランド作りができないので、真ん中に「酷」(Ku)という1文字を入れました。酷という文字は日本人が読めば「冷酷・残酷」という悪いイメージに捉えられがちですが、中国語では「Cool、格好いい」という意味なのでそのような言葉を多用する中国の若者へ向けて、イメージ作りをしようと考えていたのでしょう。

しかし、そういった思惑も2012年4月27日にサービスを終了するまで、殆ど中国人消費者に知られないまま、ただ時間だけが過ぎていったのです。

なぜ失敗してしまったのでしょう。

まずは51%対49%という見た目は台頭のように見える関係でも、実際はCMO(最高マーケティング責任者)以外のCEO(最高経営責任者)・COO(最高執行責任者)・CTO(最高技術責任者)等の役員は全て日本人でした。

結局はヤフーの淘日本同様、日本で成功してきた経験・ノウハウをそのまま中国に移植しようとして、中国人消費者の心理や慣習を理解しないままのマネジメントになってしまいます。

しかも、楽天は2010年2月から社内の英語公用語化を進めていましたが、百度側との会議では日本語・英語・中国語の3ヶ国語を同時に使わなければいけないくらいの意思疎通の悪さを見せていました。

また、当時既に中国のB2Cサイトは淘宝商城(後の天猫)が50%以上のシェアを握っていて、それに次ぐのが京東網上商城(JD)で20%程度、以下中国Amazon、蘇寧易購、QQ商城と続いていましたが、それぞれ数%程度のシェアしかない状況。その他多数のB2Cサイトの1つでしかない状況では、わざわざ楽酷天を選ぶ理由もなく中国人消費者を惹きつけるイベントの開催頻度も低かったため、全く知名度を上げることができませんでした。

楽酷天においての商品支払い決済は当初百度が運営している「百付通」(バイフートン)というプラットフォームを使っていましたがいつしか使えなくなり、何を思ったのか百度のライバルであるアリババの「支付宝」を採用してしまいます。

百度は当時C2Cサイトとして「有啊」(ヨウア)を運営していましたが、2011年4月にサービス終了するなどeコマース分野では苦戦を強いられていました。そのような背景もあり当初は楽酷天に期待していたのかもしれませんが、実質は中国の商習慣を理解していない日本人で占められていた上で、支払いプラットフォームの梯子を外されていた百度。

しかし、その裏で百度は強かだったのか、楽酷天よりもはるかにB2Cサイトでシェアを持つ京東にも同時に出資しており、出資額は楽酷天の4倍以上の1億米ドル超だったそうで、いつしか楽酷天の一人相撲になっていたのかもしれません。

結局、楽天が楽酷天事業に投資した金額は推定約8億6000万円だったそうで、本業への損失の影響は軽微だったのかもしれません。

百度と提携したのが失敗だったという見方も一部ではあったようですが、中国で事業を展開する為に現地の企業とタッグを組むこと自体が重要ではありません。

(もっとも中国政府機関との折衝等を考えると、間に噛ませたほうがいいのかもしれませんが)

もっと中国市場をよく知る中国人スタッフを積極的に登用していなかったことが問題で、日本の成功モデルをそのまま持ち込んでも何の薬にもならないのです。

先ほども触れた中国においてのB2Cシェアで中国Amazon(2004年8月に前身の卓越網を買収)がなぜ現在においても生き残っていて、全く損失なく成長しているのでしょう。

最大の要因は、中国人消費者の心理を読んで、長年モールの全商品送料無料を続けていることだと考えられます。

その他これまでB2B・B2C・C2Cの区別なく中国で成長してきたモールは、知名度を上げようと赤字覚悟の消耗戦とも言えるプロモーションを行いながら伸ばしてきた経緯があります。一方の楽天の敗因は、「日本最大のショッピングモール」というプライドを捨てられず、一から中国サイトを構築できなかったからと言えます。

ここまで2回に分けて、ヤフー「淘日本」と楽天「楽酷天」の失敗要因を見てきました。両者が失敗した要因に一部違いはありますが、共通している部分としては、文中でもしつこく書いてきました通り、中国人消費者の心理や慣習を全く理解しないまま日本の成功モデルを持ち込もうとしたということでしょう。

「ホーム」ではうまく行ったモデルも、「アウェイ」では全く通用しませんでした。これは今後どんな大資本の外国企業が同じ手段を使っても結果は同じでしょう。

eコマースに限らず中国市場で成功する道。道筋となるその答えは、「まず、中国人を正しく理解することから始める」だったのです。


© MAKEPO

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
   
follow us in feedly
友だち追加数

著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

他の参加者を見る

増山智明

関連記事

マーケティングノウハウ足りてますか?

MAKEPOのメルマガ…購読してみませんか?
直近のピックアップ記事のほか、セミナー・ツール活用情報など不定期でお伝えしています。「サイトにアクセスするのは面倒だ!」「電車の中でざっくり読みたい」という方は是非ご登録ください。 リアルタイムで情報取得をしたい方は、RSSまたは公式Twitterをフォローしてご覧ください!

通勤中の情報収集に!

メルマガ登録

いますぐ新着情報を知るなら

LINE@で友だちに追加!