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【特集】阿里巴巴(アリババ)集団、米国上場目前!?日本企業が学べること

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007中国C2Cの王者・淘宝網(2)中国の消費者心理と慣習を掴み躍進へ

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2014年9月にアメリカ証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を目指している中国のEコマース(電子商)取引の最大手企業であるアリババ・グループ・ホールディング( Alibaba Group Holding/阿里巴巴集団)。

前回コラムでは、2003年5月に立ち上げた淘宝網(タオバオ)に関して、立ち上がる前後の中国eコマースのビジネスモデル、また当時中国eコマース界をリードしていた中国eBay(易趣網)からどのようにして淘宝網はシェアを切り崩していったかについてご紹介しました。今回は淘宝網がどのような仕組みを使って、顧客を広げていくようになったのかをもう少し深く見てみましょう。

中国に行ったことがある方ならよく体験してきたと思いますが、中国の市場で売っている品物の値段は言い値で、値引き交渉等の駆け引きを当たり前に行います。

chinapifa.jpg

強いて言うなら、値引き交渉をしないのはスーパーなどの値札がはっきりと出ているところ、または自動販売機くらいでしょう。

chinasupermarketprice.jpg

値札がはっきりついてない場所では値引き交渉が当たり前で、中国において古くから行われている商習慣です。

淘宝網においても、普通に交わされている光景として、値引き交渉は当然ですが、出品しているに関わらず実は在庫がない・入荷待ちという状況によく出くわします。また、商品の写真と実際の商品の実像がかけ離れている場合が多々あるので、実際の最新状況を写真に写して画像ファイルを交わしたりと商品の良い点・懸念点を把握する為にはコミュニケーションが欠かせないのです。

では、インターネット上の見えない相手に対して、どのようにコミュニケーションを取るのでしょう。

考えられる方法としては、電話やEメール、サイトに掲示板機能を置きそこに投稿することで相手の返信を待つか。でもメッセージを出したところで相手は見ているのか返信を本当に返してくれるかも分かりません。

中国では淘宝網に限らず、通常のビジネスにおいてもオンラインチャットツールをよく使います。代表的な例としては同時オンライン数2億を達成したテンセントのQQがあります。

淘宝網において顧客と販売業者との間のコミュニケーションを促進するため、サイト内にインスタントメッセージ機能「阿里旺旺」(アリ・ワンワン)を導入します。今や淘宝網に出店しているほぼ全ての店舗が阿里旺旺を導入しているので、買い物する際には欠かせないツールです。

aliwangwang.png

阿里旺旺を通してコミュニケーションを取った結果、ようやく買う意思が固まったところで、次は代金を支払います。これが日本であれば銀行振込やクレジットカード決済で先払いして商品の到着を待ち、届いたら中身を確認して販売業者を評価して終わりという流れでしょう。

日本では売り手・買い手双方の見えない信頼関係があるので、このような流れで問題ないでしょうが、中国では残念ながらそのような信頼関係はなく、銀行振込等の決済で先払いをしてしまったら、場合によっては販売業者が商品を発送しないまま逃げてしまい連絡すら取れず泣き寝入りということになるかもしれません。それはないとしても中国の銀行振込を使った送金には普通(着金まで1~3日)、快速(着金まで数時間)、実時(リアルタイム着金)の3種類があり、短時間で相手に代金を渡すためには高い振込手数料を払わなければいけません。

そのような面倒な問題を全て解決する仕組みとして支付宝(アリペイ)というオンライン仮想口座システムがあります。

alipaysystem.jpg

画像出典元

支付宝の仕組みは以下の通りです。

顧客は支付宝口座に預けている資金から代金を決済して、一旦支付宝側に代金を預けます。

(決済に手数料はかかりません)

決済した時点では販売業者に代金は渡らず決済通知が行くだけです。

販売業者は通知を確認した後、商品を発送。商品が顧客に届いた後に問題がなければ顧客が最終承認決済を通すことで初めて販売業者に代金が行きます。もし商品に問題があった場合、返金申請を出し販売業者が承認すれば、代金は戻ってきます。

(業者に特に異議がない限り、承認せずとも申請後48時間で自動的に返金されます)

売り手側にしてみても、支付宝により買い手の支払い能力が担保されているので、安心して発送ができます。まさしく売り手、買い手双方に優しい支付宝の仕組みです。

その他では、発送中は各運送会社のサイトにアクセスして発送状況を確認しに行かなくとも淘宝網の取引画面で状況が更新され、最新状況が確認できます。

aliex.png

また販売業者の応対態度・発送の速度・実際の商品が理想通りだったか・配達員の態度がどうだったか等を評価するシステムを作ることにより透明かつ安心して取引ができます。

このようにして、淘宝網は中国人消費者の心理や慣習をうまく掴み、ユーザーを伸ばしていきます。例えば2004年始めの淘宝網と中国eBayのシェアは9%対90%でしたが、同年末には41%対53%に一気に詰まるほどでした。

淘宝網は2003年のサービス開始時、3年間は利用無料を打ち出していました。当時ライバルだった有料サイトの中国eBayは2004年・2005年と2度の商品登録費値下げを行いますが、淘宝網は2005年10月に更に3年間利用無料を打ち出し、中国eBayからユーザーを奪い続けます。2005年の時点で淘宝網のシェアは57%に達し、中国eBayを逆転して激しい顧客争いは淘宝網の勝利に終わりました。

2006年に中国eBayは中国TOM在線有限公司と提携して巻き返しを図るも、結局同年12年から一時中国市場からの撤退に追い込まれます。淘宝網はその後の2008年10月に更に無料化継続を宣言し、現在においても出店登録や販売手数料が無料です。

(一部店舗サイト製作時に有料サービスは存在しています)


20131111tmall.JPG

現在、淘宝網のユーザー数は4億を突破。中国における急激なモバイル化においてもうまく立ちまわった結果、2013年第3四半期時点でのモバイルショッピングシェアが79.1%、2014年3月時点のモバイルユーザーは1億3109.1万人と2位の京東の4771.5万人を大きく引き離して独走状態にあります。アリババは2008年に高品質、高付加価値な商品を求める消費者のためのB2Cサイト・淘宝商城(現:天猫/Tmall)を開設。こちらは出店保証金・販売手数料・ポイント費用・技術サポートなど有償のサービスとなりますが。2009年にはユニクロが参入して話題となり、その後も国際的なメーカーが大挙参入。2013年11月11日の特別セール日には開始55秒で売上1億元(約16億円)を突破、たった1日で総売上350.19億元(約5603億円)を記録するなどアリババの勢いは全く留まるところがありません。

B2Cは京東網上商城(JD)が天猫に迫る努力をしていますが、C2Cの2013年時点で市場規模は1兆900億元(約17兆9000億円)、淘宝網が96.5%ものシェア(残り3.5%は京東傘下の拍拍網)を握っており、よほど強力なライバルが現れない限りは優位は揺るぎないでしょう。

圧倒的な資金力と中国人消費者の心理や慣習をうまく掴んでいるアリババに今のところ隙は見えていません。

© MAKEPO

 
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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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増山智明

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