ノウハウをいつでも。ウェブマーケティングのポータルサイト

【特集】阿里巴巴(アリババ)集団、米国上場目前!?日本企業が学べること

マーケティング

008オンラインとオフラインの融合へ - 中国eコマースの巨人・アリババが描く「帝国」の正体とは何か

このエントリーをはてなブックマークに追加
      
follow us in feedly
友だち追加数
2014年9月にアメリカ証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を目指している中国のEコマース(電子商)取引の最大手企業であるアリババ・グループ・ホールディング( Alibaba Group Holding/阿里巴巴集団)。
これまでアリババはアリババ・ドットコム、天猫(Tmall)、淘宝網(タオバオ)の3本柱で中国のB2B(企業間取引)、B2C(企業対消費者間取引)、C2C(消費者間取引)のeコマース3分野を完全にリードしていますが、アリババが今参入している、またはこれから参入しようとしている領域は多岐に渡るようになってきました。その動きはオンラインに留まらず、オフライン領域にまで波及を始めて、これから巨大な中国市場を大きく飲み込み「アリババ中国帝国」を作ろうとしているのではないかという勢いです。

今回は、アリババがどのような分野を開拓しているのか見てみましょう。

オンライン決済サービス・支付宝

このインターネット時代に安全なオンライン決済は欠かせないものとなっていますが、アリババeコマースの躍進を影で支えていたシステムとして支付宝(アリペイ)の名前をまず挙げておかなくてはいけません。

alipay.jpg

支付宝はショッピングだけに留まらず、携帯電話のチャージ・航空券や列車のチケット決済・タクシー運賃支払い(快的打車)・ファンド投資(余額宝)・学校の授業料支払い、そして交通違反の罰金支払い・大病院の予約と予約金の支払い・大学構内のキャッシュレス化にまで広がりを見せています。

alipaycar.png alipayhospital.png alipayschool.png

また、日本を始め海外サービスとの提携も進んでおり、例えば日本では楽天グローバルマーケットの決済にも使えるようになりました。

ウェブ・モバイル関連アプリたち

2013年4月29日にアリババは、総ユーザー5億3650万人(2014年2月現在)・月間アクティブユーザー1億5650万人(2014年6月現在)いる「中国版ツイッター」微博(Weibo)を運営する新浪微博の株式18%を5億8600万米ドル(約574億円)で取得しました。

また2014年3月にアメリカのビデオ通話アプリ・TangoMeの株式16%を2億1500万米ドル(約220億円)で取得しました。

tangome.jpg

TangoMeは総ユーザー数2億人・月間アクティブユーザー7000万人(2014年3月現在)で、ユーザー数では微信(WeChat)、LINE、WhatsAppよりは少ないですが、過去1年でユーザー数を2倍に伸ばしています(参考リンク)。

中国においてのメッセージングアプリは微信が独走している状況ですが、支付宝やモバイルゲーム・検索、位置情報サービスアプリ、例えばタクシー配車アプリ・快的打車(Kuaide)、地図アプリサービス・高徳(AutoNavi)と連携してどこまで微信を追い上げられるか注目されます。

モバイルゲーム・検索分野は、2014年6月にUC優視(UC Web)を100%完全子会社化することに成功しています。同社サービスには、中国のモバイルブラウザで65.9%のシェアがあり、アクティブユーザー数5億人以上のUCブラウザ、中国のモバイル検索で約20%のシェアがあり、アクティブユーザー数1億人以上の神馬捜索、その他モバイルゲーム・九遊(9Game)、アプリストア・PP助手などがあります。

その他日本人が使う機会は殆ど無いですが、クラウドサーバー/DB・阿里雲(Aliyun)、クラウドストレージ・酷盤(Kanbox)などに投資しています。

デジタル・エンターテインメント・メディア

これからアリババが特に強化しようとしている分野の1つが、デジタル・エンターテインメント・メディアではないでしょうか。

例えば、音楽や映像の配信プラットフォーム。

音楽分野は、音楽ストリーミング配信サービス・虾米(Xiami)を2013年1月に買収しています。虾米はストリーミング無料ですが、ダウンロードは少額の料金が発生するサービスです(参考リンク)。

映像分野は、微博と同様に日本で広く知られている動画ストリーミング共有サイトである優酷網(Youku)・土豆網(Tudou)を運営する優酷土豆の株式18.5%を12億2000万米ドル(約1250億円)で取得しようとしています。

また、国内外のテレビ番組制作や映画の配給権獲得に力をいれようとしています。

2014年3月にテレビ制作会社の文化中国伝播集団の株式60%を8億800万米ドル(約822億円)で獲得。その後文化中国は、阿里巴巴影業集団(アリババ映画事業グループ)と社名変更。香港映画界の大御所・王家衛(ウォン・カーウァイ)、周星馳(チャウ・シンチー)、陳可辛(ピーター・チャン)各監督の投資優先権全てを阿里巴巴影業集団が保有しています。

翌4月には、中国において有線テレビ・インターネットテレビ等を手掛ける華数伝媒の株式20%を65億4000万人民元(約1078億円)で獲得。華数伝媒は中国当局からインターネットテレビの運営認可を受けています。

7月には、アメリカの映画制作・配給会社のライオンズ・ゲートと提携して、同社が提供している「ライオンズ・ゲート・エンターテインメント」コンテンツのストリーミング配信権を獲得。その中には映画「トワイライト」「ハンガー・ゲーム」やテレビシリーズ「マッドメン」などの有名コンテンツが含まれています。

lionsgate.png

ここまで紹介した様々なコンテンツを配信しているのが、セットトップボックス・魔盒(モハー)や創維と共同開発したスマートテレビ・酷開TV(Coocaa)です。

これらは、中国メーカーのTCL、創維(Skyworth)などと共同開発したもので、アリババのモバイルOS・雲OSを採用していることでも知られています。

アリババが狙っている究極の理想は、自社で制作した映画やテレビ番組を魔盒や酷開TVで配信して、なおかつ従来持っている天猫や淘宝網といったショッピングサイトへ誘導して買い物してもらうこと。逆に天猫や淘宝網のプラットフォームを使って映画の宣伝へ誘導したり、チケット販売を支付宝と絡めて行うことが可能です。

O2Oの展開

O2O(Online to Offline)とはオンラインとオフラインの購買活動が連携し合う、またはオンラインでの活動が実店舗などでの購買に影響を及ぼすといった意味のeコマース用語です。

アリババのeコマースに直接関係してくるところでは、中国に百貨店30店・ショッピングセンター6店を展開して後にアリババが80.1%出資して合弁会社となる銀泰商業グループや中国の主要物流会社(順豊・申通・圓通・韻達・宅急送・匯通)などと共同で設立した物流会社・菜鳥網絡科技有限公司(Cainiao)。今後5年程度で1日平均300億元(約4900億円)のeコマース取引を支えるスマートロジスティクスネットの構築を目指しています。

他では2014年6月にサッカー・AFCチャンピオンズリーグ優勝経験がある名門プロサッカークラブ・広州恒大足球倶楽部の株式50%を12億人民元(約198億円)で取得。同時に現在同クラブ名に冠されている不動産デベロッパー・広州恒大グループと戦略提携が発表されており、2015年シーズンはクラブ名が「広州恒大淘宝隊」に変更されることが有力視されています。同チームの現監督は元サッカー・イタリア代表監督のマルチェロ・リッピ氏が務め、来季からセリアAで159得点をマークしている元イタリア代表FWのアルベルト・ジラルディーノ選手の移籍が発表されています。

以上、執筆時点で分かっている限りの主な開拓分野について、ご紹介しました。

アリババはオンラインのみから、オンラインとオフラインの連携・融合にまで踏み入れつつあります。
これまで中華人民共和国における歴史を紐解くと、電力・鉄道・金融・通信などの社会インフラ、自動車・電子・プラント製造などの製造業は100%近く国有企業で引っ張ってきていたし、その構図は現在においても変わっていません。むしろ国有企業を拡大させて、民間の参入を萎縮させようとしているほどです。

その一方で、消費市場産業やインターネット産業は、政府がコントロールできずに資本の自由化が進んできました。
その間に通信インフラが整備され、また高度な情報化が進み、現在ではモバイル契約者7億8729.5万人、インターネット利用者が6億1800万人までに増えたことにより、中国インターネット黎明期から中国人消費者の心理や慣習をよく理解して誠実に歩みを進めてきた結果がアリババの今日の姿なのでしょう。
確かに創業者の馬雲(マー・ユン/Jack Ma)氏が偶然インターネットと出会い、アリババを設立して、右腕となる蔡崇信(Joseph Cai、現・アリババ執行副会長)氏やITバブル崩壊の荒波が吹き荒れる中ソフトバンク、ヤフー社を率いる孫正義氏の大型出資を受けるなどの「幸運」はありました。

今、中国は経済低迷の影が押し寄せていると言われていますが、アリババが巨大な中国市場を支え、どのような新たな魅力を引き出してくれるのか、今目の前にあることだけでなくその先の中国をどう見せてくれるのか、非常に楽しみでなりません。

© MAKEPO

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
   
follow us in feedly
友だち追加数

著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

他の参加者を見る

増山智明

関連記事

マーケティングノウハウ足りてますか?

MAKEPOのメルマガ…購読してみませんか?
直近のピックアップ記事のほか、セミナー・ツール活用情報など不定期でお伝えしています。「サイトにアクセスするのは面倒だ!」「電車の中でざっくり読みたい」という方は是非ご登録ください。 リアルタイムで情報取得をしたい方は、RSSまたは公式Twitterをフォローしてご覧ください!

通勤中の情報収集に!

メルマガ登録

いますぐ新着情報を知るなら

LINE@で友だちに追加!