【特集】阿里巴巴(アリババ)集団、米国上場目前!?日本企業が学べること
マーケティング009中国インターネットの巨人・BAT(百度・アリババ・騰訊)の激しい勢力争い

BATとは、順にBaidu(百度/バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴)、Tencent(騰訊・TengXun/テンセント)の3社を指しています。
前回コラムでは、オンラインに留まらず、オフライン領域にまで波及を始めて、これから巨大な中国市場を大きく飲み込んで「アリババ中国帝国」を作ろうとしているアリババの動きについて紹介しましたが、今回は残る2つの巨人である百度と騰訊、そしてアリババがどのようにしのぎを削っているのかを見てみましょう。
その昔、中国インターネット業界における3つの巨人と言えば、新浪(Sina)、捜狐(Sohu)、網易(NetEase)でしたが、これらは「BAT」の激しい争いの前に巨人の座を譲ってしまった感があります。
新浪の目玉商品の1つである微博(Weibo)
結果、マイクロブログ界でライバル関係にあった騰訊微博はネットメディア戦略の変更で、新規機能開発を停止して、微博事業部は解散に追い込まれました。同業の捜狐微博や網易微博も既に無力に近い状態です。
検索エンジン分野では、依然百度の独壇場であることには変わりありませんが、この分野にも騰訊が入り込んでおり、2013年9月には、当時中国検索シェア第3位だった捜狗(Sogou、捜狐の検索子会社)の36.5%の株式を取得しました。
それ以前の2010年10月にアリババが10.88%捜狗の株式を取得していましたが、その後20ヶ月で捜狗の売り上げが8倍に伸び、2011年第3四半期以降経営黒字に転換した為、2012年7月に捜狗がアリババの持ち株全てを買い戻しました。
捜狗に騰訊が出資した2013年9月当時は、検索シェアが捜狗10.54%対百度63.14%でしたが、2014年7月段階で15.10%対55.44%と差は確実に縮まっており、今後どこまで接近していけるのか動きが注目されます。
ほかでは、以前にコラム・中国都市部で大流行!タクシー配車アプリの人気の秘密に迫るにて紹介したタクシー配車アプリ分野で、「快的打車」にアリババが、「滴滴打車」には騰訊が出資して激しく争いました。
(2つのアプリは、乗客・運転手双方に比較的高めのインセンティブが設定されていたので、一時人気を博しましたが、インセンティブが基本消滅したことで、一気に市場が縮小してしまいました...)
オンラインショッピング界ではアリババの「淘宝網」や「天猫」が強いというのはこれまで再三書いてきた通りです。この分野はかつて百度がアリババの淘宝網に対抗してC2Cオンラインショッピングモール・有啊(ヨウア)を運営していましたが、2011年4月にサービスを終了。
一方の騰訊は、2014年3月に、B2C分野で「天猫」に次ぐ2番目のシェアを誇る京東網上商城(JD.com)に15%出資して、同年5月に京東商城がアメリカにおいての新規株式公開を後押ししました。
B2Cシェアは2014年第2四半期(4~6月)時点で天猫が52.4%、京東商城18.4%と依然天猫優位が続きますが、騰訊の後押しを受けてどれだけ巻き返すか注目されます。
現在の中国は、特に「外資叩き」が加速しており、海外企業の中国参入にいろいろな困難が生じている状況という民間企業による半クローズドな状況にありながら巨大なマーケットを誇っており、BATの渦の中に他社がどんどん巻き込まれている状況。これからどこまでBATは巨大に成長していくのでしょうか。まだまだ目が離せそうにありません。
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著者情報
マスヤマトモアキ
増山智明
1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。
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