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【特集】阿里巴巴(アリババ)集団、米国上場目前!?日本企業が学べること

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010上場直前のアリババが抱える死角 - 知的財産権侵害にどう立ち向かうのか

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アメリカ証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を2014年9月に目指している中国のEコマース(電子商)取引の最大手企業であるアリババ・グループ・ホールディング(Alibaba Group Holding/阿里巴巴集団)。

上場に向けて、創業者であり現会長の馬雲(ジャック・マー)氏を中心に、オンライン・オフライン問わず多岐に渡って事業領域を広げているということは、これまでもコラムで書いてきた通りで、今のアリババの中国においての「強さ」が頻繁に報道されています。

では、死角は全くないのかと問われれば、明らかにそれは違うと言えます。

現在の最大の弱点は、
知的財産権侵害・模造品が溢れていること。もっと簡単に言うと偽ブランド商品が非常に多いことです。

対策は打ってはいるのですが、まだ劇的な効果を得られていないことが挙げられます。

日本でも、法人でアリババ・ドットコムにて仕入れをやっていらっしゃる方がいます。また最近では中国輸入ビジネスという名目で、個人でもアリババ・ドットコムや淘宝網を使って仕入れをやっている方もいるでしょう
気になる「知的財産権侵害」問題について、現状どうなっているのかを幅広く伝えるべく、少し掘り下げてみたいと思います。





淘宝網内の模造品の現状とは?

beats studio_taobao.png

まずは、上の画像を見てください(実際の検索画面は画像をクリックするとリンクへ飛べます)。

これは、淘宝網でBeats Electronicsというオーディオ機器メーカーが製造・販売している「Beats Studio」というヘッドフォンを検索した画面です。

販売価格に注目すると、

上から、
¥1359,¥1349,¥1366,¥320
¥388, ¥1380, ¥338, ¥800
とあります。

だいたい1400元(約23,000円)を切るくらいで売っている商品と、400元(約6,700円)を切るくらいで売っている商品に大別されます。

写真の見た目だけでは、1400元前後と400元前後の商品の違いは分かりません。

では、検索画像の下段右から2番目の338元に着目してみると、

beats studio_taobao_fake.png

定価2,338元(約39,500円)のところ、338元(約5,720円)で販売しています。

商品タイトルこそ「正品」(正規品)と書いてありますが、価格設定が明らかにおかしいです。
(日本向けのBeats公式ストアでは、2014年9月1日現在で30,000円(税別)で販売されています)

しかし、タイトルで正規品と書いてあるにも関わらず、写真では「行貨」(ハンフォ)と書いています。
行貨は中国語では粗悪品を指しますので、明らかな模造品ということです。
(似たような言葉で「水貨」がありますが、こちらは並行輸入品を指しますのでお間違えないように)

アリババはどのような対策を取っているのか?

このように、アリババのサービス内にはまだまだ模造品・偽ブランド商品が数多く存在していることがお分かり頂けたと思います。

上場を控えているアリババは、コンプライアンスを順守する為に、一体どのような対策を取っているのでしょう。

まず、知的財産権侵害を通報するプラットフォームを設置。(淘宝網アリババドットコム

どういうフローで審査しているかの大まかな流れについては、JETROのサイトで解説がありますのでそちらを参照して頂くとして、

淘宝網は2014年5月1日以降にプラットフォームを通じて、模造品ではないかとブランド・オーナーから警告された出品商品をモール上から素早く削除するプログラムを開始しています。

また、8月22日以降、淘宝網では模造品販売規則を改正・罰則強化となりました。

taobao_kisoku.png画像引用元

淘宝店舗は、「淘宝規則」という販売ルールに基づき、加点減点方式で最高48分(48点)までの減点制度があります。

(48点に達すると、ユーザーIDの永久凍結とシステムから商品発送指示を出せないように制限をかけられます)

減点内容は、

  • 商品情報から模造品が販売されていると運営側が判断した場合、商品1件につき2点の減点
  • (減点合計が12点超過の場合、7日間の店舗遮断)
  • 実際に模造品を販売していると判断した場合、商品1件につき12点の減点と14日間の店舗遮断
  • 模造品の販売を大量に行なっていると判断した場合、商品1件につき24点の減点、店舗削除・同一IDで21日間の店舗新規作成禁止
  • (淘宝網で販売する為には本人認証が必要なため、IDを差し替えても認証が通りません)
  • 模造品の販売状況が悪質かつ司法・行政が入るような場合、一発アウトでユーザーID永久凍結

という具合です。

世界知的所有権機関(WIPO)が2014年2月に公表したリポートによると、アリババでは淘宝網を中心に、模造品の撲滅に年間1億元(約16億9000万円)以上を投じ、過去1年間、知的財産権を侵害していると疑われる商品1億点を削除。中国公安当局と連携して77件の偽造事案を告発して、51の犯罪組織の検挙に繋げたと記されていますが、まだまだ劇的な効果が得られていないということは、先に触れた通りに未だに堂々と?模造品が出ているところから見ても明らかです。

実際に知的財産権侵害の申し立てだけに留まらず、グッチやイヴ・サンローランを手掛けるアメリカのケリング傘下のブランド各社が2014年7月9日にニューヨーク州南部連邦地方裁判所に淘宝網のサイト出店者10数社を被告として提訴に踏み切っています。

訴訟は約2週間後にケリングとアリババが対話により和解。「権利を損なわない」条件で取り下げられましたが、このままでは次の訴訟提起があるかもしれず、予断を許さない状況と言えるでしょう。

ここまで、アリババが抱える「死角」について解説してきました。

中国市場を考える上で忘れてはいけないのは、御存知の通り以前からニセモノが普通に存在していること。
なぜならホンモノがまともにあったとしても、仕入れ値が必然的に上がり、そこに中間コストを加えると商売にならない。
ニセモノでも値段が安く耐用期間が長めなら、人によっては「安くてソコソコ」商品価値があると考え、流通の対象になってしまうことです。
よって、今後もしばらくは中国市場全体でニセモノの製造や流通を根本的に止めることは不可能と言えます。

アリババは今後、上場を果たしても、コンプライアンスを重視する多数の投資家たちが、「中国で製造している模造品の販売で利益を得ている企業」と判断されてしまえば、投資が遠のき株価が上がらない危険性をはらんでいます。

株主の要求と中国市場における現実の狭間で、どれだけ模造品を撲滅するキャンペーンを打って、目に見える効果を出していけるか。アリババの手腕が問われます。




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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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増山智明

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