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【書評】気になるあの書籍は、マーケティングにこう役立てろ!?

マーケティング

006辻中 俊樹・櫻井 光行 共著 『マーケティングの嘘: 団塊シニアと子育てママの真実』

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本書は、マーケティングのプロである著者による、定量マーケティングの落とし穴について鋭く切り込んだ一冊となっています。

これまでの市場調査では大きく支持されていた定量マーケティングの限界と、著者が提唱する新しいマーケティング手法・「生活日記調査」の有用性について説いている本書。
消費者について、よりリアルな調査を行うための指南書だともいえます。

たった一人のサンプル調査が重要な「生活日記調査」

著者は、自身が体験した、マーケターによる「見てきたような嘘」をきっかけに、定量調査の限界を感じたといいます。
これまでマーケティングの常道であった定量調査では、「回答の不正確さ」「回答者による無意識の嘘」「わかっていることした調査できない」という限界があり、本当の消費者とは異なる調査結果が出ていたというのです。

そこで著者が開発したのが、本書で紹介されている「生活日記調査」という方法。
対象者に一週間分の生活日記を書いてもらうだけ、といういたってシンプルな方法ながら、細かな生活動線を明らかにできるのがメリットです。

生活動線を追っていくことで、ある生活シーンにおける道具立てをつかまえることができる。
これを著者は重視しています。
そのシーンに、ある商品が現れる理由・逆に現れない理由といった、人と商品の関係を理解することがマーケティングの出発点に他ならないというのです。

これまでのマーケティングの「常識」にメスを入れる!

本書において特筆したいのは、著者が「気づき」を大切にしているということです。
これまでのマーケティングでは、調査結果を鵜呑みにしてしまうマーケターが多く、結果が消費者の実態とかけ離れていても気が付かないケースが多くあった、というのが著者の考えです。

著者は、定量調査の限界を感じたことをきっかけに、調査サンプルの「量」ではなく「質」に注目し、一人の調査結果を細かく観察することでさまざまな「気づき」を得られるという結論に至ったのです。

例えば<若い子育てミセス>をターゲットにしたとき、定量調査ではしばしば「若い母親の料理は手抜きだらけ」という誤ったイメージが表出するといいます。
これは、若い母親たちが料理をするとき重視する「時短」・「簡単」・「手間要らず」といったキーワードが、定量調査では「手抜き」に集約されてしまうことがあるからだそうです。

若い母親たちの実態を紐解けば、「お腹を空かせた子供を待たせないために早く、すぐにできる料理」であり「栄養バランスも良い手作りで安心な料理」を心がけているはずなのに、定量調査では限られたキーワードから誤った消費者像が導かれてしまう、という事例が本書の中で紹介されています。

著者が提唱するマーケティング方法では、一日の生活動線の中で、さらに細かく落とし込んだシーンごとに消費者の動向を観察することが可能です。
たった一つのサンプルから、実に多くの消費者像を導き出すことが可能であり、しかもよりリアルな実態を見いだせるこの方法は、定量調査というこれまでのマーケティングの常識にすっぱりとメスを入れる存在だといえるでしょう。

新しい流れ「気づきマーケティング」とは

本書を通じて、著者は「気づき」の大切さを説いています。
定量調査には定量調査なりの良さがあり、この方法でしかわからない情報もあります。
しかしそれがあまりに当たり前の方法になりすぎると、マーケターが消費者の本質を見失うことになる、と著者は警鐘を鳴らしています。

では、著者の提唱する「生活日記調査」こそが新しいマーケティングの常識となるのでしょうか。
それも違います。

著者は、さまざまな市場調査方法について、使うべきシーンと調査結果の反映方法を使い分けることこそ重要であると主張します。
そして、本物の消費者像を捉えるためには、「気づき」こそ大切だ、とも述べています。

調査結果に出ていることだけを追うのではなく、その後ろに隠れているさまざまな要素を検討・調査すること。
膨大な調査データのみを注視してしまいがちな多くのマーケター、もしくはマーケティングについて学んでいる人にとって、本書はまさに新しい事実を気づかせてくれる一冊だといえるでしょう。

自身のマーケティング術にマンネリを感じている人、消費者像と現実の乖離を感じる人は、ぜひ本書をご一読下さい。
これまでの「当たり前」を新しい「気づき」に変える著者の新発想に、心地よい刺激を感じることができるのではないでしょうか。

マーケティングの嘘: 団塊シニアと子育てママの真実

著者:辻中 俊樹・櫻井 光行
出版社:新潮社

市場調査で一般的に使われる定量的マーケティングは、しばしば偽物の消費者イメージを作り出す。たとえば「若い母親の料理は手抜きだらけ」「シニア層の散歩は健康目的」などだ。しかし、著者の開発した「生活日記調査」は、全く異なるリアルな消費者の姿を浮かび上がらせる。たった一人のサンプル調査が絶大な効果を挙げる画期的なマーケティング手法と、消費の大票田「団塊シニアと子育てママ」の真相を詳述。

© MAKEPO

 
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著者情報

サリュ

saryu

経歴:東京都在住。3児の母。育児の合間を縫ってフリーライター活動を始め、現在は学校と幼稚園の役員をしながら在宅ワーク中。趣味は読書、特技は妄想で、時々家族に心配されます。

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