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【書評】気になるあの書籍は、マーケティングにこう役立てろ!?

マーケティング

007博報堂BaBUプロジェクト著 『ポケッツ!―意外に知らない子どもマーケットのヒミツ』

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本書は、博報堂内で1996年にスタートした博報堂BaBuプロジェクト編著による、キッズマーケティングの根本に迫る一冊です。
9歳以下の子供を持つ家庭を対象に長期間に渡る研究を行い、そこから得られたデータによって書かれた本書は、キッズマーケットを支える「お金」について考察しています。

キッズマーケティング本というと、いかに子供の心を取り込むかという視点で描かれている物が多い中、本書は「子供を取り巻く大人」に着目している点がユニークです。
時に当事者として、時にマーケッターとして、いくつもの視点から子供をめぐる市場を見渡している点が、本書の最大の特徴だといえるでしょう。

「ポケッツ」とは何か?

タイトルにもなっている「ポケッツ」。
これはキッズマーケティングの世界でよく聞かれる「シックスポケット」のさらに進化した姿です。

「シックスポケット」というのは、少子化によって子供一人が両親と両祖父母の計6人分の財布を独占できるようになった現象のことを指します。
つまり、子供一人に対して使われるお金は、6人分の財布によって支えられているというわけなのです。

これに着目したのが本書の編著者である、博報堂BaBuプロジェクトです。
本書では、『ここ10年あまりの間、不況などのマイナス要素に影響されず成長し続けてきた業界こそ子供マーケットである』と考えています。
また、それを支えてきたのが「ポケッツ」の拡大である、とも述べています。

これまでは子供一人に対して6つの財布(=ポケット)だったのが、最近ではそれ以上の数のポケットを独占する子供たちが増えている、という事実を本書は指摘しています。
この増え続ける財布たちをまとめて、「ポケッツ」と名付けているのです。

キッズマーケティングを新しい視点から見直す第一歩

「シックスポケット」について知っていた人も、「ポケッツ」が増殖しているという点については盲点だったといえるのではないでしょうか。

博報堂BaBuプロジェクトの調査によると、子供一人当たりの平均ポケット数は7つ。
最大では13の「ポケッツ」を持つ子供もいたというのです。
少子高齢化が進んでいる日本社会において、子供の絶対数は減っているのに、子供に使われるお金は増えているという事実に迫った本書。

さらに本書は一歩踏み込んで、「ポケッツ」の数と多様性に注目。
『核家族社会と言われて久しい現代社会において、この数はどこから来るのか』という疑問を解明していきます。

まず前半においては、「ポケッツ」をめぐる常識と新常識を検証。
詳細なデータと共に、さまざまな角度から比較・検討を行います。
この比較・検討を可能にしているのが、博報堂ならではのネットワークを活かしたデータ収集力です。

「ポケッツ」に関する調査は、全国600名の既婚女性を対象に実施されており、よりリアルかつ日本社会の平均的な状況が反映されたデータだと考えられます。
リアルな数字に裏打ちされたキッズマーケティング界の「新常識」は、これから子供向け市場に参入する企業・個人にとって心強い道標になります。

子供向け市場を考えるにあたって、一番気になるのは移り変わる市場状況の「今」。
これを知るためにも、詳細なデータが掲載されている本書は非常に有効だといえるのではないでしょうか。

「ポケッツ」は宇宙である!

本書の最大の魅力は、詳細で大規模なデータの有効性と、ユーモアがあり探究心に富んだ語り口の好バランスです。
キッズマーケティングの基礎を見直すというテーマを抱えながら、噛み砕かれた内容で初心者にもわかりやすいのが特徴。

また、データが多用されているので飽きずに読み進められるという点も本書の魅力です。
イラストや色使いが豊富なページ構成となっていて、文字のレイアウトも洗練されています。
マーケティングの実践本というだけでなく、まるで育児エッセイのように楽しく読める工夫がされていることも感じられるのです。

著者の方々の実体験や、現場の声も多数掲載されており、育児中の人にとって「あるある」と頷けるリアルなシーンがいくつもあります。
本書は、子供を取り巻く「ポケッツ」について、共感しながら読めるマーケティング本なのです。

本書において特に印象的なのは、「ポケッツ」を「宇宙」になぞらえているところです。
子供を太陽とするなら、両親や祖父母、親戚や親の友人といった数々のポケットは惑星。
子供とポケッツの関係は、「愛情という引力でつながった宇宙だ」というのです。

この本に終始溢れているのは、子供に対する「愛情」。
マーケットに愛情は不要かもしれませんが、キッズ・マーケットにおいては愛情は大きな購買動機になり得ます。
お金と愛情の天秤を、ユーモアを絡めて描き出したのが、本書なのです。

今後も拡大し増殖していくであろう「ポケッツ」について、目からウロコの実態を明らかにしている本書。
キッズマーケティングの基礎を知りたい人に、強く勧めたい一冊となっています。

ポケッツ!―意外に知らない子どもマーケットのヒミツ

著者:博報堂BaBUプロジェクト
出版社:弘文堂

大人は子どもに買いたいのだ。罪滅ぼしか、過保護か、自己顕示欲か、教育熱か、少子化時代のお子様に無限の愛は降り注ぐ。人類史上最も恵まれた子どもたちを巡る大人ポケッツ経済論。

© MAKEPO

 
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著者情報

サリュ

saryu

経歴:東京都在住。3児の母。育児の合間を縫ってフリーライター活動を始め、現在は学校と幼稚園の役員をしながら在宅ワーク中。趣味は読書、特技は妄想で、時々家族に心配されます。

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