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002中国都市部で大流行!タクシー配車アプリの人気の秘密に迫る

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今回は、中国都市部で今、大流行しているタクシー配車アプリについて、紹介させていただきます。

従来、中国でタクシーを捕まえる為には、日本のように電話でタクシー会社に配車依頼をするという方法があるにはありますが、現在においてもこの方法は中国ではそれほど浸透はしていません。

そのため、私が中国に住んでいた時は普通に道端に出て、

ヘイ!タクシー!

と手をあげて、流しのタクシーを捕まえるという行為を当たり前にやっていました。

今でもヘイ!タクシー!テクニックはバリバリ有効ではありますが、中国の特に都市部では日本とタクシー事情が違い、利用者人口が高いにも関わらず、タクシーの台数自体が多くないため、タクシーを効果的に拾うということがそう簡単ではありません。

(詳細については、後ほど詳しく触れます)

難しい事情を出来る限り解消して、なおかつ乗客もタクシー運転手もWin-Winになれるタクシー配車アプリが2014年に入って中国都市部で大きなヒットを遂げています。

現在、中国のタクシー配車アプリで2大勢力として、君臨しているのが、

杭州快智科技有限公司が開発した
快的打車 (クァイダー・ダーチャー)と、

北京小桔科技有限公司が開発した
滴滴打車 (ディーディー・ダーチャー)

です。

(打車とは中国語でタクシーを拾うという意味)

この2つのアプリがリリースされたのは、それぞれ2012年6月と2012年9月ですが、人々に広く認識されるようになったのは、2013年下半期以降の最近1年のことです。

では、なぜこれらのタクシー配車アプリがこれだけヒットしているのでしょう。

大きな要因として、

「快的打車」には淘宝網(タオバオ)、天猫(T-Mall)などが知られるアリババ(阿里巴巴)、
「滴滴打車」には微信(WeChat)やQQなどが知られるテンセント(騰訊)

という中国を代表するIT企業が大型出資して、
それぞれが持つプラットフォームである、

アリペイ(支付宝)
QQウォレット(QQ銭包)、微信

のアカウントと連動して、モバイル上で支払い決済が完結できるようになったということでしょう。

モバイルで支払いができるということは、中国のお世辞にも綺麗とは言えない紙幣・硬貨で支払わなくて済むし、もしかしたら現金のお釣りに紛れ込んでいるかもしれない?偽札のリスクも回避できるので、安全にタクシーを利用することができます。

2014年2月からこの2つのアプリのユーザーを奪い合う競争の為に、乗客側がそれぞれの支払いプラットフォームを使ってモバイル決済すると、1乗車あたり約49円(3元)程度割り引くというキャンペーンを行なったことも大きかったようです。

例えば、私が住んでいた大連市では2014年5月1日から、タクシーの初乗り料金が最初の3kmまで約130円(8元)から約162円(10元)に値上がりしました。加えて渋滞に嵌ると、12km/h以下の低速運転の追加運賃として1分あたり最大約8円(0.5元)が加算されるので、以前に比べると1乗車あたり約81円(5元)前後の負担増となっていました。それだけに大連市に居た時のアプリの3元割引キャンペーンはありがたかったです。

(3元割引キャンペーンは、2014年5月で終了しましたが、終了後のアプリ利用者が減少したようで、ゲームに勝つことによって割引が得られるなどのキャンペーンを今後も不定期に展開していくそうです)

では、これらタクシー配車アプリをどのように使うのでしょうか。

私が中国で使っていた「快的打車」を例に簡単に解説します。

まずは、アプリを起動すると、GPSが今いる位置を測定します。そこから具体的な場所をアプリ側が予測して候補を出してくれるので、該当する場所を選択します。

(場所の直接入力も可能です)

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図では、「龍畔市場」が私のいる場所です。

その位置から3km以内を走行していて、配車アプリをインストールしているタクシー運転手に配車指示を出した後、約3分の間プッシュメッセージが飛びます。

図にはありませんが、起点から行き先の場所も予め指定してオーダーするので、条件に合致する運転手がオーダーを奪い取ることで、第1段階の取引が成立します。よほど迎えに行きづらい場所でなければ、経験的には30秒以内で運転手がオーダーを取ってくれます。運転手がみな分かりやすい場所であれば、そのまま待っていればタクシーが来てくれる可能性がありますが、中国の道端はとても複雑に入り組んでいるので、より正確な待機場所を絞り込むために、予めアプリに登録してある携帯電話番号に運転手から確認の電話が届くので、正確な場所や着ている服装などの目印を伝えます。

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図では、待機場所から約621mの位置にいる「遼B1T166」というカーナンバーの徐さんという運転手が来てくれることを指しています。運転手の走行位置はタクシーアイコンが動くことにより教えてくれます。

無事、迎えに来てくれて乗車できたら、
「我已上車」(既に乗車しました)
を選択。

その後、支払画面が現れますので、目的地に到着するまでアプリを落とさずに待っています。目的地に到着したら、メーターに表示されている運賃を入力して、支払いプラットフォーム(ここではアリペイ)の決済用パスワードを入れたら支払い完了で、即時に運転手側へ運賃が「入金」されるので、これで一連の取引が終わりです。

以上のようなやり取りの多くで、中国語をふんだんに使いますし、
モバイルで支払うためには、
アプリ ⇔ 支払いプラットフォーム ⇔ 銀行カードまたはクレジットカード
この三者を紐付けておく必要があり、中国では本人認証確認の為に18桁の中国身分証番号を求められることが多く、パスポート番号を入力しても紐付け登録ができないという不備にあたることがよくあるので、日本人にはハードルが決して低くはありません。

(私自身、支払いプラットフォームと銀行カードの間の紐付けで苦労しました。2枚ある銀行カードの1枚は不可で、もう1枚で登録したら認証てぎました)

しかし、発想を変えてみて、例えばアプリを使っている中国人の友達・家族や現地法人の社員に配車してもらって、もろもろの配車までのコミュニケーションをしてもらって乗車、目的に到着したらに配車してくれた人に、
「運賃○元だったから、モバイルで払っておいて」
と電話などで伝えて、払ってもらえばいいので、うまく周囲を巻き込むといいでしょう。

このように、タクシーを配車したい乗客にとても優しく設計されているこれらのアプリですが、一方のタクシー運転手側はどうしてこれらのアプリを使うのでしょうか。

タクシー運転手側にもやはりメリットがあって、これらのアプリを介して乗客を獲得して、乗客がモバイル決済する事で1組ごとに約162円(10元)のインセンティブがアプリ側から固定で支払われます。
(2014年6月現在)

これだけでも1日あたり約2400~3250円(150~200元)ほどの追加収入を一般的に獲得できているようです。

(大雨や雪といったタクシー運転手が走りたがらない事象がある場合、5元から運賃に加えてチップを追加して支払うという機能もありますが、さすがに通常は使われません)

乗客がアプリを使った場合、必ずモバイル決済しなければいけないという規則はなく、現金で支払うことも可能ですが、10元のインセンティブが適用されない為、乗客が現金で支払うことをタクシー運転手が極端に嫌うので注意が必要です。

私自身の体験ですが、アプリで配車したにも関わらず、現金で支払った時のやり取りの再現です。

運転手「え?支払いがなんで現金なの?」
私「え?別に現金に支払ったっていいでしょ?」
(実は後に述べる支払いプラットフォームと乗車当時紐付けができていなかったので、モバイル経由の支払いが不能だった)
運転手「何言ってるの?ふざけんな!アプリを使ったら支払いはモバイルというのが規則だよ!」
私「ええ?そんな規則なんてないよ...」

これで私はタクシーから降りましたが、幸い運転手が追いかけてきて暴力を振るわれたなどはありませんでした。しかし、明らかに不服そうな顔をしていたのは、インセンティブが得られない不満からということがお分かり頂けると思います。

なぜ、タクシー運転手はインセンティブを得ることに一生懸命になるのでしょうか。その謎を解く鍵が日本とは異なる中国の特殊なタクシー事情に隠されています。

中国の大都市では地方政府(役所)によって、都市単位で正規タクシー車輌総量が厳しく規制されています。

北京約63000台、上海約50000台。私が住んでいた大連では約8000台(2011年末時点)でした。

それに対しての都市部人口は北京や上海が1300~1500万人、大連では230万人。

日本では北京や上海と同規模の人口を有する東京都で約51000台(2012年3月末時点)、大連と同規模の人口を有する名古屋市で約8200台(2010年末時点)のタクシー車輌台数があると言われています。

人口に対してのタクシー台数は、日本も中国もほとんど差がないのですが、日本と中国のタクシーを比較するにあたっての決定的な差は初乗り運賃ではないでしょうか。

日本では、

  • 東京730円(2000mまで)
  • 名古屋500円(1264mまで、中型車運賃)

に対し、

中国では、

  • 北京約210円(13元、3000mまで)
  • 上海約225円(14元、3000mまで)
  • 大連約162円(10元、3000mまで)

と物価差はあるものの日本に比べると中国では比べ物にならないくらいタクシーが手頃な運賃で利用できるので、ニーズが高い乗り物として広く利用されています。

中国では都市が以前に比べて急速に成長を続けて、都市交通としてのタクシーに対するニーズが高いにも関わらず、タクシーの車輌台数は2000年以降の10数年でそれほど増えていません。2001年から2008年までの台数増加率は北京2.29%・上海2.43%に留まっています。

逆に減少している都市もあり、減少幅が大きいところでは、中国中西部の大都市・重慶では17%減少したそうです。

現在の日本では、「特定地域におけるタクシーの適正化・活性化に関する改正特別措置法」通称「タクシー減車法」という供給過剰を抑制する法律ができていますが、まだまだ日本では乗客を求めてタクシーが繁華街や主要駅・空港で長蛇の列をなしているという現象が見られます。

対して中国では、タクシー側がお客を選んで乗せること自体を拒否してしまうという現象が頻繁に発生しています。地域によって、乗車拒否をした運転手に対して罰金を科する条例を作るなど地方政府側も対応はしているのですが、あまり実効性が発揮されていない印象を受けます。

なぜ、乗車拒否が頻繁に発生しているのでしょう。何も運転手がお客を乗せることがただ面倒だからというわけではありません。

原因の大半は「接班」(ジエバン)によるものです。「接班」とは中国語で引き継ぎ・交替を意味します。

中国の大都市では1台のタクシー車輌をほぼ24時間・昼夜2交替で2人の運転手で回しながら運航することが一般的に行われています。

そこには中国のタクシー運転手の収入構造が関係しています。

中国のタクシー運転手の収入は、
総売り上げ
(私が聞いた話レベルであるが、1日あたり約6500~1万円/400~600元)から、

  • タクシー会社に納める上納金
(150元/日前後、中国のタクシー運転手には休みと概念は基本ないが、もし仮に休んでも毎日上納金は支払わなければならない)

  • ガソリン代
  • 車のリース料金
  • 修理費
(運転手によっては、車の購入費をタクシー会社が立て替えている場合があり、返済費等が発生する)

といった雑経費は100%運転手が負担して、残る手取り収入は、
月8万1000円~13万円(5000~8000元)
程度と言われており、毎日10数時間働き続ける割には決して稼ぎが良い職業とは言えません。

ガソリン代も年々高騰が続いていて、北京市では2000年2月の時は1リットル約32円(2.47元)だったのに、2014年6月時点では約126円(7.79元)と大きく跳ね上がっています。

これだけコストが上がっているのに、タクシー運賃はそこまで大幅に値上がりはしていませんし、タクシーの空車率は30~40%はあると言われるので、1日500km走ったとして、150~200kmはカラ運行の無駄が生まれます。

都市部では慢性的な交通渋滞に悩まされているので、通常時10分で走れる道が、ラッシュアワーでは30分~1時間かかってしまい無駄が増えます。

12km/h以下の低速運転時の無駄を補填するために運賃を割増する制度はありますが、いいところ1分間あたり約8円(0.5元)程度で収入にそれほど色がつきません。

このように、中国のタクシー運転手は少しでも多くの収入を確保する為に、とにかく無駄を嫌い、効率よく運行させることに神経を使います。

そのため、接班時間に多いとされる午後2~5時の時間帯はお客さんが行きたい目的地と、接班ポイントが極端に遠いと拒否しますし、ラッシュアワーにあたる平日の午前6時半~9時、午後4時半~7時半は人の多い繁華街やオフィス街に行くことを避ける運転手は少なくありません。

このようにとにかく無駄を減らして、なおかつインセンティブを加えてよりよい収入を獲得したいタクシー運転手と、乗車拒否に遭わずに無駄なく最短時間で目的地に行きたい乗客の間で、うまく成り立っているタクシー配車アプリ。

既に2014年3月末時点で、「快的打車」「滴滴打車」の両者ともにインストール数が1億を超えるほどに普及しており、主に若い年代のスマートフォン利用者、月収3,000元(約48,600円)以上の中流階級以上に受けています。まだスマートフォンを使いこなせない市民、例えば老人や子供たちは、アプリの影響で以前よりタクシーを普通に捕まえることが難しくなっているそうです。

今後、中国でアプリが盛り上がるのか、引き続き状況を見守っていきたいものです。


© MAKEPO

 
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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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増山智明

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