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相手は手強い!?掴んでおきたい、中国マーケット動向

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003中国から世界へ。中国で爆発的人気を誇る携帯電話メーカー・小米(Xiaomi)のヒットの秘密に迫る

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日本にお住まいの皆様は、携帯電話メーカーで思いつく会社といえば?といきなり問われれば、iPhoneを販売しているアップル、その他Android OSではシャープ、ソニー、京セラ、富士通、NECの日本勢、サムスン、LGの韓国勢あたりを思い浮かべるのではないでしょうか。

では、中国系では?問われると、台湾のHTC、中国のHuawei(ファーウェイ)あたりを挙げると、他の選択肢が出てこなくなることでしょう。

株式会社MM総研が発表した2013年度通期国内携帯電話端末出荷概況によると、日本の携帯電話出荷台数シェアでは、アップルが36.6%を占め、以下シャープ、ソニーモバイル、京セラ、富士通、サムスンと続き、上位6社で75%以上のシェアを占めています。それを考えると、中国系の携帯電話メーカーを思い浮かべなさいと言われても難しいのは仕方のない事でしょう。

では、中国においての最新状況はどうなのでしょうか。

2014年第1四半期時点の統計データ(英語)によると、

日本では絶大の人気を誇っているアップルは、中国ではわずか10%程度のシェアでメーカー別では第5位となっています。首位はサムスン、第2位は2014年始めにアメリカ・モトローラ社を買収したことで話題になったレノボと続きます。

そして第3位に小米(シャオミー/Xiaomi)というメーカーが顔を出していますが、日本ではまだそれほど認知度が高くない携帯電話メーカーではないでしょうか。


小米科技

今回のコラムでは初めて携帯電話を発売してからまだ3年にも満たないメーカーが、どのようにして、一部メディアでは「中国のアップル」と称されるほどまで躍進していったのかを見ていきましょう。

小米こと小米科技(シャオミー・カージー)は、2010年4月6日に北京市で設立されたベンチャー企業です。

代表創業者は雷軍(レイ・ジュン)氏。日本においてもKINGSOFT Internet SecurityやKINGSOFT Officeなどのソフトウェアを開発していることで知られる金山軟件(キングソフト)のCEOを1998~2007年まで務めていた人物です。アメリカ・フォーブス誌で雷氏を取り上げたことがあり、その際に「中国のスティーブ・ジョブズ」と命名されたほどの実力者です。その経歴とは・・・。

雷軍

雷氏は金山軟件の経営と並行して、2000年に卓越網(Joyo)というダウンロード専門ウェブサイトを立ち上げました。その後、卓越網はオンライン上で書籍や音楽・映像ソフト等を販売するB2Cサイトへと進化していき、2004年8月にアメリカAmazon社が卓越網を買収。そして、キングソフトが香港証券取引所でIPO(株式公開)する直前の2007年6月にサイト名が「卓越Amazon」となり、現在のAmazon中国展開の基礎を作ることとなりました。

2007年10月に、キングソフトの香港IPOを見届けて、同年12月にキングソフトを退社。その後はエンジェル投資家に転身して、オンライン端末決済サービス大手のLakala、服飾販売Eコマース大手のVANCL、中国最大の医療ポータルサイトの好大夫など20を超えるスタートアップに投資して、卓越網と同様に多くの企業が成功する礎を築きました。

投資家に転向後出資してきた企業の殆どがインターネット、特にモバイルに力を入れていた企業で、それらの経験からモバイルインターネットが新しいビッグウェーブになるのではないか、また商品を通しての流通チャネルが大切だという考えから、小米が生まれました。

社名の「小米」と言う言葉は、もともと中国語で「雑穀・粟」を意味するとてもありふれた名前ですが、

Mobile

Internet

の頭文字であるMとIを合わせるとMi(ミー)となり、米の発音と同じことから社名が決められたそうです。

2011年8月に初の自社ブランド携帯となる「小米手機MIONE」(手機は中国語で携帯電話を意味)を発売しました。販売価格は1,999元(当時のレートで約2万5000円)。

小米手機MIONE

しかし、この価格だからといって、よくイメージされそうな出処の分からない粗悪な部品を使った安かろう・悪かろうというものではありませんでした。例えばCPUはアメリカ・クアルコム社製、液晶ディスプレイは日本・シャープ社製などと外部メーカーからの部品を受けたものでした。特に液晶の「シャープ社製の高性能品」といった部分を強調したアピールをしていました。

OS部分は通常のAndroid OSと「MIUI」と呼ばれるAndroidをベースとした自社製カスタマイズOSを両方サポートしていました。そもそも、当時は中国メーカーのスマートフォンで同等のスペックを持つものが存在しておらず、外国メーカー製では最低でも1台4,000元(当時:約5万円)は必要で、5,000~6,000元といった高価格も珍しくありませんでした。1,999元という価格設定が他社の半額以下でありながら、SIMロックフリーで携帯キャリアによる「縛り」が全くない裸の端末価格でした。

消費者が受けた印象として、先進性でおしゃれ、自由性(MIUI OSはユーザーの声をもとに毎週改良を重ねていた)がありながらお得な価格で買うことができることでした。

当時のスマートフォン価格(5,000~6,000元)は、一般的な中国人サラリーマンの月収の1~2ヶ月分に当たり、まさに高嶺の花でした。そんななか、半額以下の1,999元というびっくりな価格設定が、限られた富裕層以外にもスマートフォンの新しいマーケットを開くこととなりました。

驚きは価格だけではなく、販売方法も当時としては斬新なものでした。

それは実店舗での販売を一切行わずに、販売はオンラインストアだけで、限られた台数(1回の販売につき10万台のみ)を予約販売する。売り切れば、次の予約日に同じように予約販売して行く。これを繰り返すことで、流通・販売チャネルへ回るコストの削減、売れ残りによる不良在庫リスクの回避を目指す方法を取っていきました。

その結果、第1回の予約では用意していた端末10万台がたったの3時間で完売。第2回以降も即日完売が続いていきました。そういった現象がニュースとなり「小米の携帯電話は凄いらしいぞ」という評判が口コミで広がり、存在感を打ち出すことに成功しました。

もともと、中国という国は、

口コミによって、評判が大きく拡散しやすい国です。

日本と同じように、中国ではテレビ・ラジオ・新聞などといったメディアで普通に広告が流れ、消費者が目にする機会が多いのですが、今まで筆者が中国で住んできて肌で感じた印象でも、

中国人は広告宣伝を鵜呑みにしない、そもそも売り手が本当のことを言うわけがない

という考えを強く持っているように感じました。

どんなに広告主が巧みなテクニックで商品をアピールしようとも、それは広告という箱の中で動いているだけの「見世物」に過ぎないと考えています。

中国という国を考える上で覚えておかなくてはいけないのは、地縁・血縁・友情などといった個人が築いた信頼関係からのネットワークをとても大事にしていることです。

両親・兄弟姉妹・親戚・友人・同郷人といった信頼している人間の繋がりが絶対

なのです。彼らが生きてきた中で、国や組織が自らを潤してくれるわけはないし、全く信用できないということを痛いほど味わっているのです。当然、これほどに濃密な繋がりの中ではあらゆる情報や価値判断が飛び交っているのです。

古くは、口伝えから始まり、それが携帯電話の音声通話やショートメッセージへと進化。さらに、インターネットの普及で、そのつながりは飛躍的に広がりをみせました。

ちょうど小米手機が発売された2011年頃は「中国版ツイッター」である微博(ウェイボー)が爆発的な成長を見せていた時期で、そのようなブームに乗り、小米の携帯電話スペックや評価が「口コミ」で拡散していくこととなりました。

その後も小米手機は1S,2(廉価版の2A),2S,3とスペックや機能等の進化を続けながらも、2,000元を切るハイスペックだけど低価格といった路線を堅持して、限定量オンライン販売と口コミにより、発売2年目の2012年は年間販売台数約712万台が、翌2013年は2.6倍の約1870万台となり、年間総売上が316億元(約5370億元)へと成長していきました。しかし、1種の端末だけでこれだけの売り上げを伸ばしたわけではなく、2012年から2013年に更なる成長をもたらしたのは、2013年8月1日に発表した「紅米」(ホンミー,Red Rice)の存在ではないでしょうか。

紅米

もともと、小米手機が打ち出した1,999元という価格をきっかけに、中国のスマートフォン市場は、従来の(外国メーカー製の)高価格帯と逆の(主に中国メーカー製の)低価格帯スマートフォンというジャンルが確立することになりました。

その流れに呼応した中国の既存携帯電話キャリア3社(中国移動通信、中国聯通、中国電信)は2年契約縛りで端末価格実質0元(実販売価格は2000元以下で24ヶ月間の通信プラン基本料金に充当)で販売することで、中低所得者にまでスマートフォンのマーケットが広がりました。

ただし、ユーザー全てが低価格でハイスペックを求めているわけではありません。
中くらいのスペックの端末で単体価格1,000元(約1万7000円)前後、入門レベルのスペックで500元(約8,500円)前後といった用途に合わせた端末の選び方がされるようになっていきました。もちろんこれはちゃんとしたメーカーが出している正規のスマートフォン端末で、一時期流行した「山寨」(シャンジャイ/非正規品・コピー品を指すことも)端末ではありません。

これほどに端末価格自体が安くなってしまうと、既存携帯電話キャリアも契約で縛る必要がなくなり、縛りなしでも低価格で買えるようになり、低所得の若者にまでスマートフォンが行き渡るようになりました。

このような流れの中に、小米も「紅米」というブランドで参戦、価格は799元(当時のレートで約1万3000円)でした。

スペックは1.5GHzクアッドコアの4.7インチディスプレイ、カメラの有効画素数は800万と最高スペックではないものの、中以上のスペックでありながらの低価格に「小米マニア」がすぐ飛びつき、初回発売では10万台がわずか90秒で完売するほどの加熱ぶりでした。このように小米の中でも用途に合わせた携帯端末の選択ができるようになり、いろいろな層が小米ブランドを好むようになっていきました。

現在では、小米ブランドは携帯電話に限らず、1,499元(約2万4000円)から購入できるタブレット、299元(約4800円)から購入できるセットトップボックス、3,999元(約6万5000円)で購入できる49インチの4Kテレビ、そして次はわずか129元(約2,000円)で購入できる最新無線規格802.11ac対応の小型ブロードバンドルーターなど様々な分野へと商品の広がりを見せはじめています。

そして、小米の存在は中国大陸だけに留まらず、世界へと飛躍しようという動きが始まっています。その動きの始まりが2013年8月にグーグル社でAndroid製品管理担当副社長を務めていたヒューゴ・バーラ氏のを国際事業開発の責任者として獲得。更に2014年中にインド・フィリピン・タイ・ベトナム・マレーシア・インドネシア・ロシア・トルコ・メキシコ・ブラジルの10ヶ国に進出して、スマートフォンだけで2013年の販売台数の3倍以上にあたる6000万台の販売を目指しており、今後も小米の動向には注目したいものです。

※お断り 小米の製品は総務省の技術基準適合証明(技適)を受けていません。本コラムは小米の通信機器利用を促進する目的ではございません。通信機器は各国の法律に基づいて利用してください。各国で定める法律に反し利用することで、何らかの損害があった場合においても、著者並びにMAKEPO編集部(運営元:株式会社ノイズ)は一切責任を負いません。


© MAKEPO

 
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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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増山智明

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