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006中国における4G LTEサービス開始から半年。抱える課題と今後の希望を探る

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中国では4G LTEの正式サービスが始まったのは2013年12月18日に中国移動通信(China Mobile)がTD-LTEという通信形式でサービスを開始したのが始まりで、実質今年2014年は中国にとって「中国LTE元年」と言えるでしょう。

中国側では2014年中に加入者5000万人を目指しているそうですが、2014年5月時点で中国のLTE加入者は810.9万人で達成率はまだ16.2%程度に過ぎません。既にサービス開始から半年経ち、下半期でどこまで巻き返していけるのか、現状抱えている課題と今後の希望の糸口は何かを見てみましょう。

2014年5月時点で中国のLTEに契約している加入者は810.9万人(中国移動通信のみの数字。データカード契約は含まず、中国3大携帯キャリアのもう2社である中国聯通と中国電信は未公開)。

  • 2014.2
    134.0万
  • 2014.3
    279.3万
  • 2014.4
    479.8万
  • 2014.5
    810.9万

中国移動通信では、2014年2月から加入者統計を取り始めており、グラフの通り、2月時点の134.0万人から増加数としては順調です。既に中国全土で300都市をカバー、32万のLTE基地局を設置済です。

それに対して他の2社中国聯通(China Unicom)と中国電信(China Telecom)はまだ具体的な数字は出ていませんが、中国移動に比べるとユーザー数を伸ばせていない印象を筆者は持っています。その根拠となるのは、中国移動通信と他の2社の4G LTEサービスの展開スピードです。

2社においても、2014年2月から中国電信、3月から中国聯通でLTE商用サービスをスタートしていますが、両社が希望しているFDD-LTE(日本の主要携帯キャリアと同様のLTE通信形式)ではなく、中国の国策により中国移動通信が全面的に採用しているTD-LTEしか当初ライセンスが下りていなかったので、あまり積極的にサービスを宣伝していなかったということが挙げられます。また、中国聯通が言うLTEに下り最高42MbpsのHSPA+という3.5G技術まで「4G扱い」していて、LTEの持つ高速パケット通信をアピールできていなかったと見られます。

このように中国移動通信から現状大きく遅れを取っている2社ですが、本来メインサービスとしたかったFDD-LTEの試験商用ライセンスが2014年6月27日にようやく中華人民共和国工業和信息化部(国家工業情報化部)から発行され、これから一部都市でのテスト運用が始まります。とは言え実際に正式な商用ライセンスに移行できるのは2014年末または来年2015年に伸びてしまう可能性が大で、年間5000万人の加入者目標を達成するにはあまり大きな助けにならないと見られます。

一方のユーザー側はどう考えているのでしょう。

まだ4G LTEがサービス開始される前の2013年10月、デロイト・トウシュ・トーマツが発表した「2013徳勤中国移動終端消費者行為調査」によると、

deloitte.jpg

「もし、4G LTEサービスが提供されたら、購入する可能性があるか?」の問いに対して、87%が「大いにある」「比較的ある」と回答していて、更に、「もし、4G LTEがカバーされたら、キャリア変更する可能性があるか?」の問いに対しても、86%が「大いにある」「比較的ある」と回答していました。

しかし、現実は中国のモバイル契約者総数7億8729.5万人(2014年5月現在)に対して、4G LTE加入者が占める率はたったの1%に過ぎません。4G LTEサービスに対して、大きな期待を抱いていたにも関わらず、まだまだ期待に追いつけていないのです。どういった部分を気にしているのでしょう。

最大の課題は、増え続けるパケット消費量に対する料金面の不安です。

2014年6月19日に国家工業情報化部から発表された「2014年5月度通信業運営状況データ」によると、

chinamobilepacket.jpg

中国国内で1ヶ月にモバイルパケット通信として行き交うパケット量は約148.43PB(1PB=1,024TB=1,048,576GB)で、1ユーザーあたりの月間パケット量が171.9MBと前年5月の120.7MBに比べると42.4%増加しています。その為、現在中国携帯キャリアで実施されている従量課金制に照らすと、4G LTEに変更した場合に料金負担が上がってしまうのではないかという不安を抱えているようです。

そのような不安は、2014年5月に新浪科技が調査した「4G意向調査」でも現れています。

sina4greport01.jpg

「4Gサービスを利用したいか?」の問いに対して、

利用したいと考えているのが44.3%。

それに対し、LTE携帯端末とプラン費用が高いので、値下がりするまで待つが52.0%と過半数を超えています。

sina4greport02.png

「4G LTEを選ぶ場合に何を最も重視するか?」の問いでは、

プラン料金が安いことが62%と、キャリアサービス24.5%、4G携帯端末の豊富さ12.3%を大きく引き離しています。

sina4greport03.jpg

「キャリアに4G LTEプランのどの部分を値下げして欲しいか?」の問いでは、

パケット料金を安くして欲しいが88%にも上っています。

sina4greport04.jpg

「4Gプランの最低価格はどのくらいが適しているか?」の問いでは、

10元~70元(約163~1140円)を望む層が合計で96%に上っています。

つまりは、4G LTEを利用するのも結局は料金次第ということがはっきりしています。

これまでの「低迷」は、中国国家側がこのようなユーザーの需要を満たせていなかったとも考えられます。

そのような需要に対して、キャリア側も対応するようになってきています。

例えば、以前にもご紹介しましたが、中国聯通が2014年5月17日に打ち出した「自由組合套餐」。

chinaunicom8.jpg

最低価格が1ヶ月8元(パケット100MB)からで、先に挙げた1人あたりの月額パケット量に照らすと、1ヶ月16元(約260円,パケット300MBまで込み)+通話料従量制で対応できる為、お得に使うことができます。

他にもパケット使用量を家族や恋人などと分け合える「パケットシェア」、使わないパケット量を別の人に贈る「パケットギフト」や面白いところでは、

chinamobilewechat50m.jpg

携帯キャリアと「中国版LINE」とも言える微信(Wechat)とのコラボレーションで、

50MBのパケットをモーメンツ(LINEで言うタイムライン)やグループチャットに投稿することで、投稿を見た別人同士でパケット争奪戦ができる「パケットボーナス」。

chinaunicomwcuppacket.jpg

また、佳境を迎えているワールドカップの観戦熱に応えて、少額のオプション費を払うことで、モバイル経由でワールドカップを観戦する膨大なパケットを込み込みにしてしまう「ワールドカップパック」

などなどユーザーを惹きつける工夫をしているようです。

そうなると、携帯キャリアの基地局整備と、4G LTEに対応するスマートフォンの選択肢の拡大となりますが、

基地局整備は中国移動は年内に全国340都市をカバー、合計50万の基地局を整備すると語っていますし、他の2社もFDD-LTEが提供する準備段階まで来ているので、設備がしっかり揃えば大きく伸びていけるでしょう。

最後に対応スマートフォンですが、サムスン・Galaxy S5やOPPO Find7などのハイエンドモデルは早くからLTE完全対応を果たしていますし、次は7月中に発表されると見られている小米(シャオミー)のLTE対応モデル「小米3S」の発売や、タブレット「紅米Note」や格安スマホ「紅米」への機能追加版、そしてその後は中国の1000元前後の格安スマートフォンにまで4G LTE対応が広がれば、あっという間に伸びていけるでしょう。

やはり、鍵は中国の国土の広さゆえ、どれだけスピード感を持って展開を広げていけるかではないかと思います。

このように、中国4G LTEモバイル業界は、現時点ではまだよちよち歩きを始めたばかり。
調査結果からも分かる通り、大容量通信時代になっても、いかにお得に使えるか、特にパケット通信をどれだけ安価で多く使えるかということをユーザーは求めています。
今後は、キャリア側もユーザーの需要に合わせて、パケット通信をいかにお得に便利に使えるかをとことん追求していくはずです。それは、ただユーザー側のニーズに応えてというだけではありません。
日本と同様に近い将来提供されるであろうVoLTE(Voice over LTE,音声通話をデータ通信として提供する技術)や、音声通話・ウェブアクセス・メッセージングサービスなど、ほぼ大半のサービスが「高速モバイルデータ通信」を使って提供されるものだからです。
それらをどのように整備していくか、また、どのように届けていくかで、中国のモバイルサービスの未来が大きく左右されることでしょう。

【参考記事】 『正式商用已半年 4G为啥火不起来?』/新浪专栏

© MAKEPO

 
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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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