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015【前編】中国の消費者権益保護法 - 消費者向けビジネスの変化にどう対処?

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突然ですが、日本人が中国製品に対して抱くイメージとはなんでしょう?
不良品・欠陥商品が多い、安全性に疑問がある、詐欺的行為が横行する...などなどマイナスのイメージが多いのではないでしょうか。
中国大陸にいる消費者はそのような状況に対して、何も感じていないのかといえば全くそんなことはなく、年々消費者の製品に対する品質意識は高まってきています。

これまで、中国では消費者意識の高まりに対応する法整備が遅れていましたが、2013年10月25日に「中華人民共和国消費者権益保護法」(以下:消費者法)が2回目の改訂を行い、2014年3月15日から施行。この(前回に比べて)大幅な改正で、より消費者向けビジネスの変化に合わせた規定に変わりました。

今回は前編・後編の2回に分けて、消費者法の改訂でどのように対処しているのか、そして改正法施行後半年が経過して、実際にどのような変化が生まれているのかを見ていきます。

前編では消費者法の改訂による対処状況を見ていきます。

中国の消費者法とは何か?

消費者法は、1993年に初めて制定され1994年1月1日に施行された法律です。主に消費者の知る権利、公平な取引権利、法律に基づいた賠償権利などの規定に留まり、消費者の権利がかなり制限されていました。

消費者法を初めて改訂したのは、制定から15年以上経過した2009年8月。しかし、インターネットビジネスを始めとした大衆消費社会時代へと変化している現在では、それでも対応し切れていなかったため、2014年に第2回の改訂が行われました。

中国の消費者法の変化とは?

消費者法は、全8章・63条の条文から規定されていますが、今回の改訂で主にどの部分が変化したかを見ましょう。

  • 1: 個人情報保護強化
  • 2: 欠陥商品リコールに関する事業者責任強化
  • 3: 通信販売におけるクーリングオフ制度導入
  • 4: インターネット取引プラットフォーム事業者に対する管理強化
  • 5: 詐欺的行為に対する懲罰的な損害賠償の強化
  • 6: 消費者協会団体等による消費者権益公益訴訟の容認
  • 7: 品質保証に対する責任の強化
1: 個人情報保護強化

消費者の権利として、初めて「個人情報保護」が定められました。

  • 経営者が消費者の個人情報を収集、使用する際には、合法、正当、必要の原則を遵守して、情報の収集や使用目的、方法と範囲を明示して、併せて消費者の同意を得なければならない
  • 経営者および従業員は、集めた消費者の個人情報について厳格に秘密保持しなければならず、漏洩・販売・第三者へ不法に提供してはならない
  • 経営者が消費者の同意または請求を経ない場合、消費者が明確に拒絶する場合、消費者の商業的情報を送ってはならない

(以上、第3章: 経営者の義務・第29条より)

2: 欠陥商品リコールに関する事業者責任強化

これまで自動車製品など個別法では規定されていた部分はありますが、リコールに関する詳細で包括的な規定はありませんでした。今回改訂で明確に定めると同時に、経営者責任を強化しました。

  • 提供する商品またはサービスに欠陥があり、人体・財産の安全に危害を及ぼす恐れがあることを経営者が発見した場合は、直ちに関連の行政部門に報告するとともに、消費者に告知しなければならない
  • 併せて販売停止・警告・リコール・無害化処理・焼却廃棄、生産やサービス停止等の措置を講じなければならない
  • リコール措置を実施した場合、経営者は消費者が支払った対象商品の必要費用を負担しなければならない

(以上、第3章: 経営者の義務・第19条より)

3: 通信販売におけるクーリングオフ制度導入

今回改訂で「クーリングオフ制度」が導入されました。

中国語で言うと「七日无理由退货」(チーリー・ウーリーヨウ・トゥイフオ)。

販売事業者がインターネット・テレビ・電話・通信販売等の方式で商品を販売する場合、消費者は商品の受領日より7日以内に返品する権利を持ち、なおかつ理由を説明する必要がありません。

事業者は返品された商品を受領後7日以内に代金を返却する必要があります。

法律上で返品にかかる運送費は消費者が負担すると定めていますが、別途事業者・消費者間に約定が定められていればそちらが優先されます。

(第3章: 経営者の義務・第24および25条より)

ただし、クーリングオフ制度から除外される条件もあります。

  • 消費者がオーダーメイドで製作させたもの
  • 家禽・鮮魚など腐敗しやすいもの
  • オンラインでダウンロードしたもの・消費者が開封した音楽ソフト・コンピュータソフト等のデジタル商品
  • 交付済みの新聞・定期刊行物

(その他製品の性質において、返品に適さないものについても適用外になる可能性があります)

4: インターネット取引プラットフォーム事業者に対する管理強化

消費者がオンラインプラットフォームで購入またはサービスを受けたことにより、損害を被った場合に販売者またはサービス提供者に対して損害賠償を請求することが可能です。

更に事業者が販売者・サービス提供者の本名・所在地・有効な連絡先を提供できない場合においても、損害賠償を請求することも認められています。

販売者・サービス提供者側が有利となり、消費者側の合法的権益を侵害する恐れがある行為を、プラットフォーム提供者が知っていて必要な措置を講じなかった場合には、プラットフォーム側にも連帯責任を追わせることができます。

(第6章: 異議の解決・第44条より)

5: 詐欺的行為に対する懲罰的な損害賠償の強化

事業者による詐欺的行為により消費者に損害が生じた場合、事業者は消費者の要求に基づいて、通常の損害賠償義務に加えて、追加賠償・懲罰的賠償を負います。また改訂により、賠償金額が増額されています。

賠償請求にかかる規定は次の通りです。

  • 第49条: 経営者が提供した商品またはサービスで、消費者またはその他の被害者の身体に傷害を与えた場合、医療費・看護費用・交通費等の治療・リハビリの為に合理的に支出した費用および仕事が遅れたことにより減少した収入について賠償しなければいけない(身体障害や死亡した場合についての規定は後略)
  • 第51条: 経営者に侮辱誹謗、身体検査、身体の自由の侵害など、消費者またはその他の被害者の身体権益を侵害する行為があり、深刻な精神的損害をもたらした場合、被害者は精神的な損害賠償を請求できる

(第7章: 法律責任より)

追加賠償・懲罰的賠償の規定は次の通りです。

  • 経営者が提供した商品またはサービスで詐欺行為があり、消費者の損失が増大した場合の賠償金額は、購入価格の3倍とする。追加賠償金額が500元未満の場合でも、(最低金額は)500元とする。(法律により別途規定がある場合はそちらの規定に基づく)
  • 商品またはサービスに明らかな欠陥があることを経営者が知りながら、消費者に提供したことによって、消費者またはその他の被害者が死亡または深刻な健康被害を被った場合は、第49条・第51条等による規定の損害賠償に加え、更に2倍以下の懲罰的損害賠償を請求できる

(第7章: 法律責任・第55条より)

6: 消費者協会団体等による消費者権益公益訴訟の容認

改訂では、第5章に「消費者組織」という独立した章が設けられているように、消費者協会団体の役割が重要視されています。

ただし、交易訴訟の容認とあるものの、詳細について規定されておらず、実務的にどのように協会団体が訴訟するのか、協会団体が単独で訴訟して勝訴を勝ち得ても一般消費者に対してどの程度の効力を持つのかが不明確であり、次回改訂への課題となるポイントと思います。

7: 品質保証に対する責任の強化

今回改訂では、経営者側の品質保証に対する責任強化にも触れています。

これまで、「製品品質法」という法律に基づき、包修、包換、包退と言われる「三包」(日本語では修理・交換・返品の3つの責任)という規定を業種ごとの個別規定で設けていましたが、製品品質法ではリコールを除いて返品可能期限が規定されていませんでした。しかし、今回先に述べたクーリングオフ制度により、特別な約定がなくとも商品受領後7日以内であれば返品・返金ができるようになりました。

ここまで消費者法の主な改訂点について、解説しました。

現在の中国では消費者意識がとても高まっており、一旦消費者からの批判に晒されると、大きなダメージを受けかねません。また、日系企業を始めとする外資企業は特にターゲットにされやすく、消費者法に対して適切な対応が求められます。

その一方、日系企業は地場企業と比べると、コンプライアンス意識が高いとされていますが、中国の消費者向けビジネスは刻々と変化しており、その都度迅速かつ的確に対応する必要があります。

後編では、改訂法施行後半年経っての変化、そしてこれから動き出す新たな動きについて解説します。
参考URL

http://www.saic.gov.cn/zcfg/fl/xxb/201310/t20131030_139167.html(中国語)

© MAKEPO

 
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著者情報

マスヤマトモアキ

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。中国人妻と3歳の双子の男の子を抱えながらの生活。おカネのために中国関連の輸出入業始めました。

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増山智明

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