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012ブランドロゴの新展開、ユニクロとGAPに見るブランドコミュニケーションの違い

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ロンドンで設立された世界最大のブランドコンサルティング会社、インターブランドは、ブランドを"Living business asset"(常に変化するビジネス資産)と定義し、毎年、"Best Global Brands" や"Best Domestic Brands"といったレポートを作成し、広く公表しています。

例えば、日米を代表するSPA(製造小売業)のブランドを比較してみましょう。Gapは、Best Global Brands 2013の100位に、ユニクロはJapan's Best Domestic Brands 2014の4位にランクされました。しかし、インターブランドが算出したブランド価値は、Gapの39億2,000万USドルに対して、ユニクロは41億6,000万USドルとなっており、ユニクロのブランド価値は、世界ランク入りする水準となっています。

今回は、ユニクロとGapのブランドロゴの活用の仕方に着目して、ブランドコミュニケーションの違いを見ていきましょう。

ユニクロvsGap、日米SPA企業のVI戦略

1984年、広島市中区に第1号店をオープンしたユニクロは、日本を代表するSPA(製造小売業)のひとつ。現在ではヨーロッパ・アジアを代表する都市に進出するなど、めざましい成長を遂げました。

ユニクロの成長には、2つの大きな戦略があったといわれます。ひとつは1990年代、Gapに倣って推進したSPA化、もうひとつは2006年、ニューヨークのソーホー地区にオープンしたグローバル旗艦店です。

グローバル旗艦店とは、ユニクロにおいて最高水準の商品・ビジュアルマーチャンダイジング (VMD)・サービスなどを意識した、世界的情報発信の拠点となる大型店舗のこと。ロンドンのオックスフォードストリート、パリ2区オペラ地区、上海の南京西路街路、ニューヨーク5番街など、ヨーロッパ・アジアを代表する都市に展開し、日本では、大阪の心斎橋店、東京の銀座店がグローバル旗艦店と位置づけられています。

グローバル旗艦店のクリエイティブディレクションは佐藤可士和氏が担当し、ロゴデザインも新しくなりました。佐藤可士和氏が考案したロゴは、英語表記とカタカナ表記によるもので、従来のワインレッドから赤を基調としたものに変更されました。

CI(コーポレート・アイデンティティ)の3つの要素

CI(コーポレート・アイデンティティ)は、企業の存在価値を高めていく戦略のひとつ。日本では、ロゴデザインに代表される、VI(ビジュアル・アイデンティティ、視覚の統一)が注目される傾向がありますが、MI(マインド・アイデンティティ、理念の統一)、BI(ビヘイビア・アイデンティティ、行動の統一)も重要な要素です。目に見えない価値と行動の実践が伴わなければ、CIを成功させるのは難しいのです。

ユニクロのVIは注目され、CIとしても成功を収めました。GapもVIの変更が注目されましたが、ユニクロとは違って、VIの変更を見合わせた経緯があります。

Gapは1988年から、青地に白抜き文字のブルーボックスロゴを使用しています。2010年、Gapはこのブランドロゴを変更しようと試みましたが、ユーザーの反対意見を受けて、1週間で変更を白紙に戻しました。

ロゴは、ブランドから連想されるもののひとつで、競合するブランドとの差異を示す上で、重要な役割を果たします。ロゴは、商品やサービスを提供する企業の側がつくりますが、ブランドは、消費者が抱く商品やサービスに対するイメージの総体です。Gapの事例は、消費者が抱くブランドに対する愛着は、ロゴにも波及することを示しています。

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顧客に新しい体験を提供し、認知を変えるGAPのブランド戦略

VIの変更を断念したGapは、その後、どのようなブランドコミュニケーションを行っているのでしょうか?Gap JAPANの取り組みを見ていきましょう。

皆さんは、SNSで「コーデ被り」「量産型女子大生」といったハッシュタグをご覧になったことはありませんか?

2000年代後半頃から、高校生や大学生などを中心に、夏はボーダーのシャツ、冬はキャメルのコートなど、定番のアイテムが好まれる傾向があります。「コーデ被り」といって、仲間内で同じようなコーディネートを楽しむ一方で、傍で見る側にとっては、クローンのような印象を受けることから、「量産型女子大生」という表現が用いられるようになったようです。

Gapは、若い世代のそういった感性を前向きにとらえ、SNSを活用したGap Logo Campaignを展開してきました。例えば、プロのカメラマンによる、Gapロゴスナップ撮影イベントを店舗で開催したり、優勝チームに、オソロのGapロゴスナップを、3Dフィギュアにしてプレゼントするというように、オンラインとオフラインを繋ぎ、ユーザーの参加を促す取り組みを断続的に行っています。

このようなユーザーの感性に寄り添うようなキャンペーンを展開する一方で、2014年3月から、BLUE BOX PRESENTS.という新しいプロジェクトをスタートしています。

Gap Japan ニュースでは、BLUE BOX PRESENTS.について、次のように紹介しています。

"リアルでパーソナル、タイムレスでありながらモダン。Gapはそういったクラシックでアイコニックなアメリカンカジュアルを通じて、常に「個人」やその「個性」、そしてそれぞれが持っている「スタイル」を大切にしてきました。

BLUE BOX PRESENTS.とは、ありのままの自分でいるその姿、生き方、ライフスタイルに光を当て、あなたらしい輝き方を感じてもらえるプロジェクトです。"

プロジェクトの第1弾として、「個性とは何か」をテーマに、東京青山のスパイラルホールで、ポートレート展示とトークイベントを開催しました。引き続き、第2弾のイースターにちなんだキッズイベント、第3弾のプロのトレーナーが指導するランニングイベントなど、Gapというブランドが大切にしてきた、ユースカルチャーやライフスタイルに焦点を当てて、ユーザーに新しい体験を提供しています。

ロゴデザインは刷新していませんが、製品だけではなく、新しいブランド体験の場を創出し、顧客とのコミュニケーションを深めていこうと試みているようです。

VIによって表象を刷新したユニクロ、体験を提供し認知に働きかけるGAP

ここからは、サンフランシスコのデザインファームDubberly Design Officeが公開しているA Model of Brandというブランド・コンセプトマップを参照して、ユニクロとGapのブランド戦略の違いを見ていきましょう。

20140805_GAP.002.jpgパースの記号モデル

A Model of Brandは、チャールズ・S・パースの記号論(Semiotics)における三項論理をベースに考案されています。三項理論とは、表象(Representamen)、対象(Object)、解釈項(Interpretant)の3つの要素からなり、関係性として記号を分析することに特徴があります。表象された記号が解釈を生み、その解釈がまた別の記号として表象される......。 記号化されたブランドは、ブランド体験(対象)の代わりとなり、ブランドイメージ(解釈項)を創り出します。ブランドイメージは、新しい記号となり、新しいブランドイメージを創り出すという無限の記号過程が生まれる......というように考えられます。

20140805_GAP.001.jpg Dubberly Design Officeによる、A Model of Brandを簡略化した図

A Model of Brandには、4つの軸があり、name(名前)とperception(認知)が、brandに繋がっています。

VIを刷新したユニクロは、symbols(シンボル)→name(名前)→brandの軸が強く働き、製品のみならず、キャンペーンやプロジェクトを通して顧客に新しい体験を提供するGapは、product(製品)→experience(体験)→perception(認知)→brandの軸を活用しているととらえることができるのではないでしょうか。

A Model of Brandについては、拙書『心をつかむ色とデザイン〜商品力・サービス力を磨くためのスキルアップ講座 』でも取り上げましたので、ご興味のある方はぜひ、お手に取ってご覧ください。

アンケート

ウェブアンケートを活用して、カラーリサーチを行っています。20秒程度でご回答いただけますので、ぜひ、ご意見をお寄せください。ご協力をお願いいたします。

© Hanae Matsumoto

 
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著者情報

マツモトハナエ

松本英恵

カラーコンサルタント
2005年6月より、All About(オールアバウト)カラーコーディネートガイド
好きな色、似合う色、売れる色、心をつかむ色など、さまざまな観点から、カラーコーディネート、カラーマーケティングのノウハウをお伝えしています。
著書に、『心をつかむ色とデザイン 商品力・サービス力を磨くためのスキルアップ講座』(日本能率協会マネジメントセンター)、『和モヨウ配色手帖 オシャレな“和モヨウ”でもっと磨く配色レッスンBOOK』(技術評論社)などがある。

取材・仕事・講演のご依頼は、公式サイトへお願いいたします。
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松本英恵

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