心を掴む!カラーマーケティングの極意
マーケティング019華麗なる衣装の色が映し出す、グレース公妃の決意


"完璧な公妃"という新しいビジョン
ニコール・キッドマンが演じるのは、現代のおとぎ話として語り継がれてきた、モナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)とのロイヤル・ウェディングではありません。物語は、ロイヤル・ウェディングから6年後、激しい国際政治の駆け引きのなか、モナコは最大の危機に直面します。
レーニエ公は国政の仕事に追われていて、家庭を顧みる余裕はありません。モナコの人々も当初はアメリカ人女優ということで、グレースを公妃として受け入れようとしませんでした。王室のしきたりに馴染めず、自分の居場所を見失ったグレースが、"完璧な公妃"を演じるという新しいビジョンを描き、新しい人生をスタートさせる...この作品は、伝記映画ではなく、現代に生きる私たちの心にも響く人間ドラマとして制作されました。
衣装担当ジジ・ルパージュが描いたグレース公妃のスタイル
本作品では、PRにおいて、衣装担当のジジ・ルパージュのコメントやグレース公妃の実際のスタイルを参考に制作されたデザイン画が積極的に公開しています。
ラメのドレスを着用したグレース公妃の写真をもとに制作されたドレスは、グレースのキャラクターに力を与える色・素材として、ゴールドのラメが選ばれました。グレースのブロンドの髪とも調和して、社交シーンにひときわ輝く存在感を示しています。しかし、この頃のグレースは、自分の居場所を見失い、レーニエ公との関係にも暗雲が立ちこめていました。ブルーシルクのドット柄のドレスは、グレースの心の内を映し出すような役割を果たしています。ブルーの中でも、水色のような明るいブルーは、グレースのナイーブな一面と響き合い、心の中の不安を描き出しています。
傷つき自信を失ったグレースが、新しいビジョンに向かって再び歩き出すと、衣装の色も変わっていきます。
そのひとつは、クリスチャン・ディオールの赤いスーツの写真からインスパイアされた赤い夏のドレス。完璧に話すことができなかったフランス語の特訓を受け、王室にふさわしい立ち居振る舞いを身に着けていきます。赤は、自信や情熱を表わす色。新しいビジョンを得て、自分の力で新しい人生の扉を開こうとする、決意が伺える場面です。
国境を封鎖するフランス軍の兵士たちに向かって歩いていく場面で、グレースはセクシーでフレッシュな花柄のドレスを着用しています。ハリウッド女優としての成功よりも、レーニエ公との愛に生きることを選んだ、グレースの人生を象徴するような場面は、まさに映画のワンシーンのよう。
そして、マスコミが詰めかけたパリのカルティエの前で、グレースはハリウッドには復帰しないと述べ、世界各国の指導者を招いたパーティの告知をします。ティールブルーのスーツに、深いマゼンタのハット。クリエイティブに自分の人生を切り開いていこうとする、グレースの精神性の高さを表わすような印象的な色づかいです。この衣装は、1961年のジャン・パトウのスケッチから再現されました。
一世一代の大芝居を演じる衣装は、2つの「白」
この映画の中の最大の見せ場は、世界各国の指導者を招いたパーティの場面です。この場面で、グレースは2種類の白いドレスを着用します。
式典用のドレスは、グレースが実際に1956年に着たランバンのドレスをもとにつくられました。ティアラと3連のネックレスは、実際にグレースに贈られたものをカルティエがこの映画のために復元しました。舞踏会用のドレスは、1960年代のフランス人デザイナーのジャン・デセスのイブニング・ドレスにインスパイアされたもの。1000を超えるスワロフスキーが使用された、豪華なもの。おとぎ話のようなマジカルな場面にふさわしいドレスではないでしょうか。
白は新しいスタートにふさわしい色。グレースは"完璧な公妃"を演じ、レーニエ公との愛を確かなものにします。

美しい衣装は、見る人の目をとらえます。しかし、美しいだけで、見る人の心をもとらえることはできるのでしょうか?映画という作品の中で、美しい衣装の色がハーモニーを奏でるからこそ、見る人を感動させることができるのです。

作品情報
作品名:『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』
公式サイト:http://grace-of-monaco.gaga.ne.jp/
公開情報:10月より、TOHOシネマズ有楽座ほか全国ロードショー
配給:ギャガ
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© Hanae Matsumoto
著者情報
マツモトハナエ
松本英恵
カラーコンサルタント
2005年6月より、All About(オールアバウト)カラーコーディネートガイド。
好きな色、似合う色、売れる色、心をつかむ色など、さまざまな観点から、カラーコーディネート、カラーマーケティングのノウハウをお伝えしています。
著書に、『心をつかむ色とデザイン 商品力・サービス力を磨くためのスキルアップ講座』(日本能率協会マネジメントセンター)、『和モヨウ配色手帖 オシャレな“和モヨウ”でもっと磨く配色レッスンBOOK』(技術評論社)などがある。
取材・仕事・講演のご依頼は、公式サイトへお願いいたします。
松本英恵のカラーコンサルティング
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