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029「ジャパンカラー」と「スポーティポップ」、資生堂の未来予測が示すトレンドの行方

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Google会長エリック・シュミット氏は、著書『第五の権力 Googleには見えている未来』で、2025年、デジタル新時代はテクノロジーではなく「人間」の時代になると述べています。

一方、近未来を描いた「ウルトラマン」をデザインした成田亨氏の展覧会が、富山県立近代美術館福岡市美術館、青森県立美術館で開催され、人気を博しています。成田氏は、武蔵野美術大学で絵画、彫刻を学んだ気鋭の彫刻家でもありました。1971年に発表した彫刻作品「翼をもった人間の化石」は、経済と科学を生み出した人間は滅び、経済と科学だけが残るのではないか?という問いから生まれたものだと言われます。

未来予測は、環境、技術、経済など、さまざまな分野で試みられており、例えば、博報堂生活総合研究所のウェブサイトでは、未来年表という形にまとめられています。 このように、未来像はひとつではなく、時代の変遷とともに、新しい見方が生まれてきました。資生堂が2014年12月に発表した「化粧は時代を映し出す~日本女性の化粧の変遷100年~」も、そのような試みのひとつ。今回はこのレポートから、2020年に向けたトレンドについて考察します。

日本人女性のメーキャップカラーの変遷における4つの側面

sub7.jpg「化粧は時代を映し出す~日本女性の化粧の変遷100年~」

「化粧は時代を映し出す~日本女性の化粧の変遷100年~」は、1920 年から現在に至るまでの化粧の変遷を1名のモデルで再現し、2020年未来予測として、「ジャパンカラー」と「スポーティーポップ」の2つのメーキャップを提案しています。

モノクロームの時代のメーキャップ

sub3.jpgのサムネイル画像1920年〜1950年代/西洋文化・銀幕女優への憧憬

流行色は、技術の進化と無縁ではありません。メーキャップカラーはその傾向が顕著で、日本古来の化粧は、「赤」「白」「黒」の三原色を基調としてきました。また、戦前戦後の映画は白黒ですから、銀幕女優のメーキャップも明暗の表現が重視されました。この時代、伝統的な三原色が選ばれたのは、技術的な課題と無縁ではなかったと考えられます。

モノクロームから、カラーの時代へ

sub4.jpgのサムネイル画像1960年代〜1970年代前期/西洋人顔への憧憬と模倣

1960年代になると、西洋的な美への憧れが芽生え、模倣と葛藤が繰り返されます。右肩上がりの経済成長を遂げた1960年代はポジティブなムードが支配的。オイルショックや環境問題など、経済成長の負の側面があらわになった1970年代はアンニュイな雰囲気が漂うという違いをあげることができるでしょう。しかし、映画やテレビの映像がカラーとなり、新しい色が模索されるようになり、人間の肌になじむヒューマンカラーとナチュラルメイクの探求が始まります。

自分らしさ〜アイデンティティの探求

sub5.jpg1970年代後期〜1990年代初期/日本美の再認識・女性の社会進出

3つ目は、社会・景気動向との関係です。1980年代になると、「西洋人のようになりたい」というコンプレックスを脱し、日本人固有の美しさに目覚め、自信に満ちたメーキャップへと変わっていきます。その後も、景気が良くなると明るい色の口紅や太眉が主流となり、凛とした元気なメーキャップが流行し、反対に景気が悪くなると、眉が細くなるなど、頼りなげな冷めた表情のメーキャップが流行するという傾向があらわれます。

ナチュラル回帰とパーソナライズの時代

sub6.jpg1990年代後期〜現在/空前の美容ブーム到来・日本独自のトレンド形成・進化

バブル経済が崩壊した1990年代以降、メーキャップがナチュラル回帰する傾向がみられます。この背景には、天災や情勢不安があると考えられ、普遍的な美の法則の探求と多様化は進みます。メーキャップは女性の美しさの探求ですから、古今東西の美を参照し、より多くの人々が享受できる普遍的な美の法則を見出そうと試みられてきました。しかし、前述した流行のメーキャップが示すように、女性の美しさには振れ幅があります。そこで、これまでに得られた知見を活用し、顧客の個性に合わせてメーキャップの提案が試みられるようになり、流行は細分化してきました。

2020年、東京オリンピックに向けて

メーキャップの変遷が示すように、女性の顔は社会背景や経済動向などを含む時代の空気と共に変化しているともいえます。 2000年代はナチュラルメイクが広く支持されてきましたが、ここ数年、口もとに色が戻り、太眉の傾向が続いています。景気の上向き傾向や好景気への期待が化粧に表れていると捉えることもできるでしょう。

2020年まで、あと5年。資生堂が提案した、「ジャパンカラー」と「スポーティーポップ」という2つのメーキャップは、これからの5年間のトレンドの柱となると考えられます。

日本独自の美の探求「ジャパンカラー」

sub1.jpg2020年の未来予測1「ジャパンカラー」

日本古来の化粧の三原色である「赤」「白」「黒」は、「唇」「肌」「瞳」のシンボルカラーです。 人間の肌は白ではありませんが、日本では「白肌」が好まれる傾向があります。人工的な照明が普及する前は、白粉を塗った化粧が主流でしたが、光溢れる現代は、肌の内側から輝きを放つような「白肌」が好まれます。唇の赤と瞳の黒は、白肌を際立たせる働きをします。

健やかな人間美の探求「スポーティポップ」

sub2.jpg2020年の未来予測2「スポーティポップ」

スポーツの祭典であるオリンピックに向けて、人間らしい、健やかな美しさの探求はますます深化していくでしょう。明るいブルーとみずみずしいオレンジの組み合わせが魅力的に映るのは、ヒューマンカラーやナチュラルメイクを探求してきた成果といえるでしょう。

サーファーファッションが流行した1980年代は、明るいブルーのアイカラーや鮮やかな青みピンクのリップカラーが流行しました。1980年代は、上瞼をブルーのアイカラーで縁取るのが主流でしたが、2020年の「スポーティポップ」はダブルラインによって新しさを醸し出し、透明感のあるオレンジのリップカラーでみずみずしさを表現しています。

低迷する日本経済のことを「失われた30年」とも呼ぶようですが、その一方で、2020年に開催される東京オリンピックに向けて、さまざまな取り組みが始まっています。資生堂が示した2つの方向性、「赤」「白」「黒」でコントラストを描くジャパンカラー、「明るいブルー」「みずみずしいオレンジ」で軽やかで颯爽とした美しさを表現するスポーティポップは、ポジティブなムードを後押しする色として注目したいですね。

参考

© Hanae Matsumoto

 
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著者情報

マツモトハナエ

松本英恵

カラーコンサルタント
2005年6月より、All About(オールアバウト)カラーコーディネートガイド
好きな色、似合う色、売れる色、心をつかむ色など、さまざまな観点から、カラーコーディネート、カラーマーケティングのノウハウをお伝えしています。
著書に、『心をつかむ色とデザイン 商品力・サービス力を磨くためのスキルアップ講座』(日本能率協会マネジメントセンター)、『和モヨウ配色手帖 オシャレな“和モヨウ”でもっと磨く配色レッスンBOOK』(技術評論社)などがある。

取材・仕事・講演のご依頼は、公式サイトへお願いいたします。
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