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003あんなものまでリサイクル!?江戸時代に確立した高度なシステムとは?

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今から150年ほど前までの東京は江戸と呼ばれる街でした。江戸は同時期のロンドンやパリに比べても、人口数が多く、巨大な文化都市だったのです。

江戸といえば、意外なまでの識字率の高さなどが有名ですが、リサイクルという意味でも世界で最高水準にあったことは間違いありません。現代人の感覚以上に、高度なリサイクルシステムが確立された「エコ」な街だったのです。

これぞ、リサイクルショップの原型!?

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現代日本での「リサイクルショップ」の感覚に近いといえば、庶民たちが利用していた古着屋はまさにそういう感じです。武家奉公に出た女中に、給金のほかにボーナスとして支給された豪華な着物などが横流しされて売られている一方で、染め直したフンドシなども平気で売られていました。

一方、進物品を専門にリサイクルするお店もありました。現代でも、誰かのお宅を訪問する際、手みやげを持っていく風習が残っていますが、江戸の武士など上流層にも進物品が必要でした。とくに格式張った御挨拶に使われた、干しアワビや干魚、カラスミ、ナマコなどの高級食材を専門に扱う「献残屋」と呼ばれるジャンルのお店があったのですね。

上流武士の家庭には(いくら法令で禁止していても)付け届けが多く、知人に配ったり、一家で使うには多すぎる時がしばしばありました。献残屋とは文字通り、「献」上品の「残」りを売りつけることができるお店という意味です。おそらく、献上する側も献残屋で買う場合が多かったでしょうから、同じ商品がグルグルと、賞味期限ぎれを起こすまで回り回っていたのが想像されます。

江戸のリサイクルビジネスはわれわれの想像の斜め上をいくレベルにまで徹底されていました。たとえば、江戸の人々の生活は、紙くずや木くずにすら専門業者がいました。

あんなものやこんなものまでリサイクル

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江戸の街では、ロウソクに火をともすと、零れてしまう流れロウを買いとってくれる、その名も「流れ買い」という業者すらおりました。

時代劇の中では、庶民もたやすくロウソクを使っていますが、これは江戸では考えられない贅沢な振る舞いでした。ロウソクは大変に高価な代物で、菜種油に火をともして灯りにすることすら、なかなか庶民にはできない行為だったのですね。つまり、夜、明るいところにいることができるのは、それだけでゴージャスきわまりない行為だったのです。

なお、庶民が使える照明器具はロウソクの六十分の一程度の明るさしかない行燈のみ。それも燃やしても無臭の菜種油ではなく、起きているには安価なニシンやサンマの脂に火を灯し、それが悪臭を発する中で夜なべするしかなかったわけですね。江戸の庶民たちが午後九時前には基本的に寝てしまったのには、大きなワケがありました。

さらに江戸では、抜け毛すらリサイクルされていたのです。その名も「おちゃない」と呼ばれる、抜け毛リサイクル業者は、抜け落ちた毛髪すら買いとってくれました。江戸時代の女性は身分をとわず、髪を結い上げておりました。さらに上流階級の女性は儀式のたびに、特殊な「かもじ」と呼ばれる部分カツラを使いました。その原料となったのが、抜け毛だったのですね。

リサイクルといえば汚物に到るまで、社会のなかで循環していました。当時のトイレは汲み取り式で掃除が大変だろうと思いきや、溜まったブツを江戸初期では江戸近郊の農家の人が直接、それ以降は専門業者がやって来て、掃除がてら有料で引き取ってくれたのです。

かつて江戸城は幾重もの掘りで覆われ、現在の千代田区の地名には一ツ橋など、水に関係するものが多いのは、江戸城に水路が通っていたという事実を示すもの。一説に三千人もの女性が暮らしていたという江戸城・大奥のトイレからも、この水路に浮かべられた小船にのせられ、糞尿が運び出されていたのですね。身分の高い人の排泄物ほど高値で売り買いされていたことも考えると、恐ろしい額のお金がウラで回っていたのでしょう......。

江戸時代のリサイクルに対する意識は、学ぶべきところが多い

リサイクルやエコというキーワードを人生において求めることは、意識の高い生き方の象徴にすらなっています。手間暇を考えれば、リサイクルするより、新品を求めたほうが早くてしかも安い、なんてこともありうるのが現代です。たとえば、現代日本には「ファストファッション」という、衣服に対する考え方がありますよね。しかし、同じようなことを、江戸時代の庶民が行うことは経済的な意味で、不可能でした(そもそも新品の服をまとう......という経験自体、生涯に数度しかなかったのですね)。同じことは、今回ご紹介したすべてのビジネスにいえます。

江戸時代の江戸でリサイクルが盛んだったのは、それが一番、必要とされていたから。江戸の街の人口の大半を占める庶民たちは必要があればこそ、高度なリサイクルを行い続けたのでした。しかし、モノやそれに込められた人の気持ちが、とても大事にされていた江戸時代の人々の在り方から、われわれが学ぶべきことは多そうです。

© 堀江宏樹

 
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著者情報

ホリエヒロキ

堀江宏樹

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。

最新刊としては、角川文庫版『乙女の日本史 文学編』が2015年7月25日、幻冬舎新書として『三大遊郭 江戸吉原・京都島原・大坂新町』が9月30日に発売。『乙女の真田丸』が10月中に発売(主婦と生活社)。
好評既刊に『乙女の松下村塾読本 吉田松陰の妹・文と塾生たちの物語』(主婦と生活社)、『女子のためのお江戸案内恋とおしゃれと生き方と』(廣済堂出版)など。監修として参加の、音楽家バトルファンタジー漫画『第九のマギア』(メディアファクトリー)の第一巻も発売中。

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