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024「ブランドの王様」の名にふさわしい人気を誇り、日本文化にもっとも浸透した高級アイテム -  ルイ・ヴィトン社(3)

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シンプルデザインが「ヴィトンらしさ」だった時代

驚かれるかもしれませんが、ブランド最初期のヴィトンの製品の機能は多種多彩でも、外見は基本的にごくごくシンプルなデザインでした。

なんと灰色一色に樹脂加工された布(「グリ・トリアノン・キャンバス」)で、木の板が覆われただけのごくシンプルなデザインこそが、創業当時の「ヴィトンらしさ」だったのです。

当初、現代のようなダミエ柄やモノグラム柄は、存在すらしていません。

Catalogue-malle-lit_1892.jpg1892年の製品のカタログ

当時の上流階級は、召し使いたちにトランクを持たせて旅をしましたから、その召し使いともども、顧客の華麗なるライフスタイルこそを目立たせるべく、トランクのデザインもあえて地味に考えられていたのですね。

要するに、現代日本でルイ・ヴィトンみたいにロゴを際立たせるなんてかっこ悪い!という人の批判の源である要素は、ヴィトンがブランドとして名声を確立していく最初期にはそもそも存在すらしていなかったのです。意外ですよね。

転換期は、1959年

なお、1959年以降のヴィトン社は、今日に直通するブランドの方向性の大転換を遂げました。カバンの販売自体は20世紀初頭からあったようですが、綿や麻布に特殊な樹脂加工を施し、とにかく丈夫で、多少濡れても平気な「トアル地」という生地を中心に、要所に革を配置した、現代のブランドの方向性に直通したアイテムがこの時、誕生しているのです。

もともと19世紀のトランクにも使われた灰色の布地も、材質的にはトアル地でしたが、それが飛躍的に改良された版ですね。しかし、その結果、さらに増えてしまったコピー商品対策の一貫として、日本の東京にも直営の支店が構えられることになったのでした。

トランクからカバンの時代へ

前回までにお話したように、ルイ・ヴィトン社は旅行カバン......というか、オーダーメイドのトランクのブランドとして、19世紀のうちから成功を勝ち得てきました。しかし、20世紀も半ばになれば、旅はもれなくアドベンチャーだという時代は終わりました。

頑丈さがウリとなる巨大なトランクではなく、手頃の大きさのカバン類こそ必要になってきたのです。トランクとは異なり、カバン類は基本的には手元に置いておくものです。他の乗客の目にも触れます。このあたりも、目立つロゴが必要だという理由が(コピー対策以外にも)あったであろうことは見逃せませんね。

ブランドロゴの持つ価値について様々な研究がなされていますよね。個性的なロゴを強く打ち出すことは、他の品との差違化を際立たせ、それによって顧客を獲得しやすくする行為です(ファッション的にはどうかは議論の余地がありますが......)

また、ロゴマークの入った商品を多数作り、それをファンに買って使ってもらえれば、品質や値段といった要素で選ぶのではなく、そのマークが入っている商品だからこそ欲しい......と他の人にも思わせる効果も期待できます。

時代のニーズに応じて柔軟な変化を遂げることの大切さ

第一回でもお話しましたが、ヴィトン社の場合、その長い伝統の中で、もともと超シンプルだったデザインが、ブランドのロゴを強調したハデ目なデザイン主流になったり、主力商品がオーダーメイドで作るトランクから、既製品のカバン類や小物に切りかわったり......と、とにかく大変化を遂げているのです。

このように創業の精神性だけは残しつつ、大幅にチェンジしていく、というのは簡単ですが、実は一番難しいことです。

しかし、それが出来たということは、時代の流れやニーズに柔軟に食らい付いていけた証なのですね。そして初代のルイに続く、社長がみな優秀だったのでしょう。それこそがヴィトンというブランドの一番の幸福だった......と。

そもそも、本当に「変わらないこと」に価値を見出し、成功し続けることはできません。逆に一流ブランドでありつづけるためには、「変わらないこと」よりも「変わるための勇気」、そして世間のニーズを読み取りそれに尽くしぬこうという意味での「おもてなし」の精神が必要なのです。

参考
ルイ・ヴィトン公式サイト - LOUIS VUITTON:http://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage

© 堀江宏樹

 
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著者情報

ホリエヒロキ

堀江宏樹

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。

最新刊としては、角川文庫版『乙女の日本史 文学編』が2015年7月25日、幻冬舎新書として『三大遊郭 江戸吉原・京都島原・大坂新町』が9月30日に発売。『乙女の真田丸』が10月中に発売(主婦と生活社)。
好評既刊に『乙女の松下村塾読本 吉田松陰の妹・文と塾生たちの物語』(主婦と生活社)、『女子のためのお江戸案内恋とおしゃれと生き方と』(廣済堂出版)など。監修として参加の、音楽家バトルファンタジー漫画『第九のマギア』(メディアファクトリー)の第一巻も発売中。

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