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歴史本『乙女の日本史』に見る書籍制作の裏側とヒット戦略

マーケティング

001歴史とは「語り」である

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○御挨拶

僕と滝乃みわこさんとの共著『乙女の日本史』の単行本発売からは、すでに五年以上が経過しました。読者から好評をいただき、東京書籍からの単行本版は第十四版が刊行され、また今年7月には角川書店から文庫化することも出来ました。歴史本としては"ヒット作"だったといってもよいかと思います(自分でいうのは気恥ずかしいですが......)。

現在のマスコミ・出版は、基本的に全国各地の大都市圏での購買を中心として想定し、まわっています。ネット経由で情報が手に入り、本は買えるにもかかわらず、『乙女の日本史』の文庫本はやはり東京・大阪に代表される大都市圏、それも紀伊國屋書店新宿本店など、働く女性の多くあつまる本屋さんを中心に稼働しているようです。 これは『乙女の日本史』に限らず、現在の出版の典型的なセールス・ケースなんだと思います。いわゆる地方で売れるには、当地での郷土色を全面に出さないかぎり、難しいというようなことも多々あるんですね。
しかし作り手としては『乙女の日本史』のことを、いろんな方にまだまだ知ってもらいたい。『乙女の日本史』の認知度がまだまだ足りていないと感じるのです。

マーケティングのノウハウを専門とするMAKEPO編集部に、これらを相談してみたところ、もろもろの事情を明かした上で、どのように『乙女の日本史』が作られていったか。さらには世間的にはかなり珍しい存在である「作家」という職業のノウハウ出版業界の習慣などについて語ってみてはどうか......という短期連載の御依頼をいただけました。
このような経緯もあり、今回からしばらくお時間をいただいて『乙女の日本史』という"ヒット作"の裏側について、そのコンテンツ作りやどのようなマーケティングがなされたかの観点を含めてお話をしようかと思います。様々な読者の方が想定されますが、楽しんでいただければ幸いです。

語り方=文体の工夫

『乙女の日本史』では、「語りかけるように書く」というスタイルを僕の作家人生の中ではじめて本格的に使用しました。この文体を、僕は「ですね体」と呼んでいます。

MAKEPOでの連載コラムでも使っていますが、「ですね体」の効果は大きいものでした。『乙女の日本史』の想定読者は、日本の歴史に漠然とした興味と断片的な知識はあるが、専門的な知識はあまり持たないヒトたちです。そして、もう一つ重要なのは、ほぼ同時期に大ヒットしていた、(歴史の教科書で有名な)山川書店から出版された"オトナのための歴史教科書"のような本を買わなかった、もしくは、それだけでは満足できなかったヒトたちです。

「ですね体」を上手く使用することで、この「知りたい」と思っている読み手の心に上手く寄り添えた感があります。感覚的な問題ですが、「~である」「~だ」という文末をもった文章は、読み手に心理的な壁を感じさせやすいハズです。しかし、僕が「ですね体」を使用するようになったのは、歴史とは「語り」なのだ、と気付いたからなのです。

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© 堀江宏樹

 
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著者情報

ホリエヒロキ

堀江宏樹

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。

最新刊としては、角川文庫版『乙女の日本史 文学編』が2015年7月25日、幻冬舎新書として『三大遊郭 江戸吉原・京都島原・大坂新町』が9月30日に発売。『乙女の真田丸』が10月中に発売(主婦と生活社)。
好評既刊に『乙女の松下村塾読本 吉田松陰の妹・文と塾生たちの物語』(主婦と生活社)、『女子のためのお江戸案内恋とおしゃれと生き方と』(廣済堂出版)など。監修として参加の、音楽家バトルファンタジー漫画『第九のマギア』(メディアファクトリー)の第一巻も発売中。

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堀江宏樹

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