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歴史本『乙女の日本史』に見る書籍制作の裏側とヒット戦略

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006売れっ子作家でも何もしなくても売れているわけではない! - プロモーションは、「動く」が第一!!

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今回は本が完成された後のプロモーション作業について、一作家の観点からお話をしたいと思います。
出版業界のプロモーションとは、この本の読者だと想定される人々に作品の魅力を知ってもらうよう、動く。これだけです。でもなかなかうまくいかないのは、別業界でもプロモが難しいのと同じ理屈です。プロダクトを手に取らせることが一番、困難なのも同じ。

以前、本が売れに売れた時代には、「本当によいモノは何もしなくても売れる」という"神話"が、出版業界でも本気で信じられていたそうです。しかし、川端康成のような文豪ですら、近所の書店にこっそり出かけ、自分の本を目立つ所に勝手に移動させることを日課にしていた......とのエピソードを残しているので、本当に何もしなくても売れる商品は、企業側が夢見ているだけの、白日夢のようなもの。基本的に、ありえません。でもこのご時世、「ありえない」という事実に安住してはいられないので、作家としても色々とプロモについて考えざるをえないのですね。

僕の場合、プロモはすでに本作りの最中からはじまっています。読者が持っておきたい......もうすこし文学的にいうと、読者が共に生きたいと思える、そんな本を作ること。それが歴史エッセイストとしての私にとっては、プロモの第一段階にして、最善のプロモ案だと思われます。


鍵を握るのは、一緒に仕事をする相手

しかし、その後、プロモーションが第二段階以降になった時の鍵は、作家より編集者が握っている場合が多々あるのです。たとえば編集者がキャリアのあるベテランさんで、さまざまな書店と強い信頼関係が出来上がっている場合、書店員も「あの編集者の本だから、よい本に違いない」と好意的な対応をしてくれる可能性が、高まります。プロのクリエイターを目指すのであれば、一緒に仕事する相手を選べ、と前回までにお話した理由はそれです。

編集者自身が、出版社の営業さんとならぶほど熱心にプロモーションしてくれる場合、「ある書店で、○月からの○○フェアに並べてもらえることになった」という"スペシャル"が期待できる場合もあります。角川文庫版の『乙女の日本史』も今後、この手のフェアに出していただけそうとのことですので、情報が確定次第、また告知させていただきますね。

告知といえば、たとえば「○○新聞に広告を載せます」というようなこともすべて、編集者がとりはからってくれるものです。これらを業界用語では「仕掛け」といいます。

......というような中で、作家として何が、具体的にプロモーションとしてできるかというと、やれることは案外、限られているような気がするんですよね。

書店への営業活動が効果を生む可能性もあり!

デビュー直後の作家でも効果が見込めるのは、書店への著者営業です。僕は大学時代から出版業界に片足をつっこんではいましたが、書き手・作り手としてしか業界には関わってきていませんでしたから、業界全体のシステムの流れを感じ取るためにもやってみて悪いことではありませんでした。お勧めです。書店で自分の本を取り扱っていない場合、自分の本が配置されるであろう分野の担当者さんに、本を売り込むわけです。

たとえば......自分のデビュー作『後宮の世界』には、同性愛ネタを数多く放り込んだので、BL小説のコーナーにも置いてもらえるように頼んでみたところ、発売数週間で初版の5割が実売するなど(BL効果だけではないんでしょうが)、一定の効果がありました。この手のジャンル越境型の配本が可能かどうかは、書店の方針によりますし、いくら著者がお願いしたところで無理なモノは無理です。が、丁寧に対応はしてもらえると思います......(経験上)。自分は作家としては、プロモーションにかなり熱心な方なのでしょうが、販売のためのアイデアを考えるのは楽しいものです。

Fotolia_61949602_Subscription_Monthly_M.jpg並べてもらう場所によって売り上げが変わる可能性も

もっとも現代での基本中の基本プロモとしては、作家名義でやっているツイッターやフェイスブックなど各種SNSをつかって呼びかけてみる、ということでしょうね。有望ですし。逆に「新人作家」としてデビューするとき、この手のファンがすでにいっぱい付いている人は有利でしょう。出版社側も、ネット活動ほぼ0の新人Aと、ネットで名前を知られている新人Bがおり、二人の実力が同等であれば、後者を先にデビューさせると思います......。Aさんは「新人作家の売り込みくらい会社が中心になってやってよ!」なんて思うかもしれませんが、「経験者優遇」なのは、どこの業界においても同じなわけです。

また僕の場合、このMAKEPOでの短期集中コラム連載自体がそうでしたが、"『乙女の日本史』の作家"として、告知もできるようなお仕事をなにかさせていただけるよう、訴えてみることも有効なプロモ手段です。

次ページ 注目すべきは、インターネット上でのプロモーション

© 堀江宏樹

 
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著者情報

ホリエヒロキ

堀江宏樹

歴史エッセイスト・作家。1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学在学中からフリーランスライターとして文筆活動を開始。『仰天! 歴史のウラ雑学 後宮の世界』(竹書房)で作家デビュー。性別を超えた独特の論調で、幅広いファン層をもつ。

最新刊としては、角川文庫版『乙女の日本史 文学編』が2015年7月25日、幻冬舎新書として『三大遊郭 江戸吉原・京都島原・大坂新町』が9月30日に発売。『乙女の真田丸』が10月中に発売(主婦と生活社)。
好評既刊に『乙女の松下村塾読本 吉田松陰の妹・文と塾生たちの物語』(主婦と生活社)、『女子のためのお江戸案内恋とおしゃれと生き方と』(廣済堂出版)など。監修として参加の、音楽家バトルファンタジー漫画『第九のマギア』(メディアファクトリー)の第一巻も発売中。

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堀江宏樹

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