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東京ディズニーリゾートのマーケティングを語る

マーケティング

011広告は意味がない。商品を売りたければストーリーを語れ

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ディズニーならではのマーケティングの一つに、「ストーリー(物語)をプッシュする」という方法がある。

爆発的ヒットを飛ばす、株式会社オリエンタルランドのマーケティング戦略の、実例を紹介する。


お正月グッズに見るオリエンタルランドの戦略

東京ディズニーリゾートでは、2015年正月の干支キャラクターとして、"こひつじのダニー" という、一般的には全く無名のディズニー・キャラクターを打ち出した。

なぜ無名かというと、日本未公開のディズニー短編アニメーション『わが心にかくも愛しき』(1949年)に登場するキャラクターだからだ。

DVDにもなっておらず、基本的に国内では観る手段がないのである。

噂レベルではあるが、株式会社オリエンタルランドは、"こひつじのダニー" に、かなり力を入れているらしい。

グッズ販売開始初日となった2014年11月13日、私は東京ディズニーランドに駆けつけたが、ざっと見渡して、20人ほどの社員が見守っていたほどだ。

知名度ゼロでもマス広告を打たない

マーケティング担当者のあなたが、まったく無名の商品を売りに出すことになったら、どうするか。

第一に、露出を増やすことを考えるだろう。

ところが、"こひつじのダニー" は、知名度が最低レベルであるにもかかわらず、いわゆるマス広告を目にしていない。

私見だが、"こひつじのダニー" グッズは、可愛いし、よくできていると思う。

ストラップぬいぐるみは、ひとつひとつ表情や、首をかしげる角度が違い、愛着も湧きやすい(ダッフィーと同様だ)。

素人考えでは、ガンガン広告を打てば売れそうに思うのに、そうはしない。

ダニーにまつわるストーリー(物語)を語る

代わりにやっているのは、ダニーにまつわる物語が、熱心なファンの間に浸透していくような、ちょっとした仕掛けのみなのだ。

東京ディズニーランド「こひつじのダニー」 "DEAR DANNY" - The Little Black Lamb -

詳しくはオフィシャルの特設サイトを見ていただきたい。

『わが心にかくも愛しき』のストーリーをベースに、ダニーが東京ディズニーランド内に迷い込んだ、という設定になっている。

「ダニーをさがして」というちょっとしたゲームを遊ぶと、ダニーが、東京ディズニーランド内のどこにいるかが、わかる仕組みになっている。

新キャラ「ジェラトーニ」販売時もストーリーが中心

前回、第10回の連載で、Twitterキャンペーンの様子を紹介した、新キャラ「ジェラトーニ」についても、実は同様だ。

こちらは「ダッフィー」という、超人気キャラクターのお友達という設定のため、最初から注目度が高かったという違いはある。

だが、メディアが勝手に騒ぐのを除けば、オリエンタルランドは、ストーリーを語ることに専念していたように、私には見えた。

"こひつじのダニー" 同様に、マス広告は目にしなかった。

発売前の目立ったプロモーションは、Twitterキャンペーンと、東京ディズニーシー内の壁に、徐々に描き足されていく壁画くらいのものだ。

パラッツォ・カナルの噂 | 東京ディズニーリゾート

壁画によるプロモーションは、おおよそ以下のように進んだ。

6/6 ジェラートをもったダッフィーの壁画が、東京ディズニーシー内に出現
6/9 上記スペシャルサイト『パラッツォ・カナルの噂』公開
6/11 ダッフィーの壁画の横に、さらに絵が描かれ始める
6/13 花の壁画と、足跡が出現。Twitterキャンペーンスタート
6/19 壁画に筆とパレットが追加
6/23 新キャラは絵描きと判明
6/30 Twitterキャンペーン参加者にジェラトーニお披露目
7/4 ジェラトーニグッズ販売開始

単に注目を集める以外に、「新キャラクターは、ジェラートや、絵画に関係がある」→「新キャラクターは絵描き」と印象付ける狙いがあったと推測される。


数日でグッズの大半が品切れとなる大人気に

6/30のお披露目イベントでは、ダッフィーとジェラトーニにまつわる "物語" が、クローズアップされた。

ダッフィーの新しいお友だち ジェラトーニ | "Duffy" The Disney Bear | 東京ディズニーシー

『ミッキーとお散歩をしていたダッフィーが、持っていたジェラートを落としてしまう。そこに現れたジェラトーニが、ジェラートを使って絵を描き始め、ふたりは意気投合。ダッフィーに新しい友達ができた。』

以上のような、ちょっと滑稽だけれど、ファンの頭にスッと入り込むような、シンプルな物語だ。

結果、「ジェラトーニ」グッズは、販売初日から、入店するまでに数時間待ちの大行列ができる人気ぶりで、数日のうちに、多くのグッズが品切れした。

これ以上ない、というほどの成果だ。

ダッフィーの大ヒットも物語が生まれて以降

今では、東京ディズニーリゾート屈指の人気キャラクターに成長している「ダッフィー」だが、実は当初は、ディズニーベアと呼ばれた、あまり存在感のないキャラだった。

ところが、2005年後半、オリエンタルランドの主導により、以下のようなストーリーが設定されて以降、状況は大きく変わり始める。

"Duffy" The Disney Bear | 東京ディズニーシー

『ミニーは、長い航海に出ることになったミッキーに、さびしくないようにテディベアを作った。ダッフルバッグに入れられていたので、ダッフィーと呼ぶことにした。ミッキーは、世界中どこへでも、ダッフィーを連れていくようになった。』

徐々に熱心なファンが生まれ、広く浸透していった。大ブレイクしたのは、2008年後半と言われている。

もちろん、ダッフィーがヒットした理由は、「ひとつひとつ表情が違う」「着せかえができる」「手触りがいい」「パーク内を一緒に連れて歩ける」「TDSでしか買えない限定感」など、さまざまに指摘されている。

様々な要因の一つでしかないが、やはり「ミニーマウスが、ミッキーマウスにプレゼントした、手作りテディベア」というシンプルでわかりやすいストーリーが付与された影響も、見逃してはいけないだろう。


© MAKEPO

 
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著者情報

ヨリカネケイイチ

寄金佳一

1979年生まれ。横浜市在住。『D*MANIA』ディレクター、フリーライター、ブロガーとしての活動を中心に、WEBライティング講師や、WEBマーケティング&メディア運営アドバイザーを手がける。

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寄金佳一

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